よみもの アルエド(未来軍部)2

□誕生日プレゼントの秘密
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 今日は、東方司令部で恋人にしたい人ナンバーワンに輝く人物の誕生日、前日だ。
去年の誕生日は、まだ移動して間もないころだったので、そうそう知られていなかったが、今回は二年目。
 だから、たくさんの人に知られていたようで、前日にもかかわらず、大部屋のデスクはたくさんの誕生日プレゼントで溢れかえっていた。それもそのはず、明日はアルフォンスが休暇だからだ。
そのピンクの山にうずくまるようにして、ペンを走らすアルフォンス。
 そこへ何の用事で行っていたのか知らないが、将軍の部屋から戻ったエドワードが、おお、と驚きの声を上げた。
「おモテになりますな、中佐」
「お褒めに預かり光栄です。ところで、貴方にも素敵なプレゼントが」
 アルフォンスは、ニコリと笑って大部屋のエドワードの机を指差す。
 そこには、プレゼント…もとい、書類の山が二つ。
「山が三つになったらやることにする」
「何いってんですかッ!」
 しかられつつ、しぶしぶ椅子に座って、ペンを持つ。
「な〜ガネットはまだ帰ってこないのかな〜」
「来週から復帰できそうですよ。先ほどローズ中尉が言ってましたんで」
「そっか!良かったなあ!じゃあ、お祝いしなくちゃな〜」
 アルフォンスは、ジロリとエドワードを睨む。
「集中しろ」
 低い声でそういわれて、口を尖らせたエドワードは、はいはいと、ペンを走らせる。
「ふむ…って、なんだこの書類!エネル!エネルー!」
 なんだよ、と部屋に入ってきたエネルは、咥えた煙草をそのままに、エドワードの前にぬっと現れた。
「おまえこそまじめに報告書作れ!ガネットはもっと丁寧だぞ!」
「まじめにやらない司令官に言われたくないね」
「なんだと〜!?」
「うわ。これ美味いんだぜ」
 怒りを露にしたエドワードを無視して、エネルはアルフォンスの机にある一つのピンク色の包みを見つけた。
「え、美味しいんですか?」
「ここのチョコレートは美味いぞ。甘い物キライな俺でも、食えるからな」
「そうなんですか〜。ここに紅茶の缶もあるんですけど…休憩にしますか?大佐抜きで」
「なんで俺は抜きなんだよッ」
「どうせ、将軍のところでチェスしてきたんだろ!」
「ち、違うって。今後の司令部のありかたについてだな〜」
「見え透いた嘘をつくなッ。あんたたち二人が集まってマトモな話したことがないだろ!」
「お、俺はだな〜まじめに話すつもりだったのに、あのジジイがだな〜」
 将軍に対してジジイと発言できるのは、エドワードくらいなもんだが、二人はチェス仲間だ。といっても、エドワードの0勝50敗なのだが。
「じゃあ、紅茶飲んだらちゃんとやってよね」
「は〜い」

 アルフォンスは、プレゼントとしてもらったもののメッセージカードだけを抜き取り、紅茶の缶をもって給湯室へ向かう。
エネルは、ピンクの包み紙をはずすと、紅色のメッセージカードが同封されていた。それはアルフォンスのデスクに置き、露になったワインレッドの箱の中から、チョコレートがかわいく並んでいる。
「わ、キレイなもんだな」
 一口サイズのチョコレートが十個ほど並んでいた。
「たぶん、中にウイスキーが入ってるのもあるとおもうぜ」
「へえ」
 エドワードが一粒つまみ、アルフォンスが来る前にパク。
「アルフォンスがもらったヤツじゃね〜か」
「なんだよ、おまえ意外に真面目」
 口をもぐもぐさせてエドワードは嚥下した。
「どうだ?」
「うーん…美味いか?これ…」
「お子さまのお口に合わなかったか?」
 冗談交じりにエネルは笑った。
 
10分後に、アルフォンスがカップをのせた、トレイを運んできて、テーブルに置こうとしたときだ。
「ッ!」
 急にエドワードが、前のめりに倒れこんだ。
「はっ、はっ…!」
 息遣いも荒々しく、何かを捕まえるかのように手を振り回す。
「エド!?」
「ッ!大佐!」
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