よみもの アルエド(未来軍部)2

□セントラル編四日目
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第四日目  

『軍の暗躍』
 パーティから帰るなり、乱暴に正装を解かれた。
 優しい口付けよりも、痛いくらい乱暴な口付けのほうが、今日はよかった。
 だって、俺が悪いから。浮気とか、そんなんじゃないけど、でもたしかに、マーカーという男に魅力を感じた。
「貴方が、他所へいくなら、殺してほしいとさえ、思う。さっきは奪い返すといったけど、でもやはり耐えられない。貴方が、ここからいなくなって、他の男にこうされるのは、耐えられないよ…」
 アルフォンスが情事の最中、泣きそうな顔でそういった。
 
「殺す…。そんなこと俺にできないとわかっていて、おまえは言うんだな」
 アルフォンスの表情が、崩れる。涙が出るのかもしれない。だけど、必死に、突き進める腰を、俺は受け止めるしかなくて。
「ッ、兄さん…」
 ああ。こいつは泣いてるのか。
「ッ、あっ…っ!」
 『抱く』という行為は、『泣く』に等しいのかもしれない。
 今、俺を無理に抱くことによって、こいつは泣いている。
 子どものように、泣けないから、こんなふうに俺を求めて泣いている。
「アル…アルっ…!」
「兄さん…!」
 もう、オンナの移り香は消えて、二人の汗と、精液で全身ぬれて。俺の煙草のにおいは、アルフォンスのキスで消えて。
 お互い向き合う形で、スることが多いが、アルフォンスが急に俺の身体を反転させた。つまりは、ネコのようなカタチ。
「っ!」
 確かに幾分入りやすいカタチかもしれないけど。
「…アル…っ!ヤダ!アル!!」
 これじゃあ、嫌だよ、アル。
「…どうして」
「これじゃあ、おまえかどうかわからないだろ」
 それでも入れる、抜くを繰り返す。
「っ。アルっ…!聞いて、アルっ…ッ」
 変えようとしない体位。
「アル…ッ!」
 もう、だめ。そうおもった瞬間に、暖かな液体がどろり、と注ぎ込まれて、すぐに伝って落ちていくそれ。
 自分ので腹を汚して、いやだといっても、感じるソレに、満足したのか、アルフォンスは笑みを浮かべる。
「俺ッ…やだって…いっ…た」
「他人に突っ込まれてるように思ったの」
「ち、ちがッ…!でも…」
「ねえ、貴方は顔で僕を判断するの?」
「ッ!」
「ぬくもりや、クセや、声。人とは違うでしょう?貴方は、声と精神だけで僕だと分かってくれていた時期があったじゃない。今は、もう分からなくなったの?」

 ぬくもりに慣れて、愛されることに慣れて、生きていくことに慣れていた。
 
「違う…だけど、俺は不安だよ…。おまえがちゃんと、俺で感じているのか」
 アルフォンスの頬にふれると、目を細める。
「俺でちゃんと、感じてる…?入れて抜き差しすれば、男はイケルよ。でも、おまえは俺を感じてるの…?俺は、やわらかくないし、お前を喜ばせることもできないけど、でもお前の顔みてれば、それくらい分かるよ…」
「兄さん…」 
「俺で感じて、俺を感じて?そうしたら、俺はお前を忘れられなくなる。これは、立派な束縛だろ?」
 俺がアルフォンスのこめかみをそっと撫でると、アルフォンスは俺を抱きしめて、肩口に唇を寄せる。
「ごめん…兄さん…余裕のない僕を笑って」
「なんで、余裕がないの…?」
「余裕ないに決まってる…貴方はこんなにも、キレイで輝いてて。それを他人が見るだけで、僕は妬いてしまう」
「それは、身内の欲目だよ、アル」
 俺はそういうアルフォンスが可愛くて、微笑んだ。
「兄さんを抱きしめるのは、僕だけにして」
「うん」
「キスも」
「うん…」
 再び口付けを交わすと、アルフォンスは落ち着いたようで、ふっと笑った。それにつられて、俺も微笑み、二人でベッドに沈んだ。
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