よみもの アルエド(未来軍部)1

□エルリック大佐は司令官?
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 エドワード・エルリックは、東方司司令部の食堂に座り、コーヒーを片手にとサンドイッチをパクついていた。
 丁度昼時だったので、食堂のテーブルはいっぱいで、相席で食事をしているものも多い。だが、エドワードの座っていた席だけは、彼一人しかいなかった。
「ここ、いいですか?」
 そのため、最近になって移動してきた若い下仕官は彼が誰かとも知らず声をかけた。遠くで「あいつ勇気あるな」とぼそぼそ声がする。だが、その下仕官も、エドワードにもそれは聞こえなかった。
「見ない顔だな」
「ええ。今週赴任したばかりです」
 笑顔で答える同い年くらいの下仕官にエドワードは気を良くしたのか、ニッと笑っていった。
「どう?東方司令部は」
「いいところですね。仕事内容に変化はないんですけど、司令部の人は優しいです。いろいろと教えてくれますし、待遇も良いです」
「気に入った?」
「ええ。転勤してよかったです」
その答えに、エドワードはうれしくなり、再び微笑んだ。
「そっかー。これからもヨロシク。名前は?」
「セイ・ホークス軍曹です」
「年は・・・同い年くらいか?」
「え?幾つですか?」
 ホークス軍曹は、自分より若いと思ったのだろう。
「俺、19歳。もうすぐハタチ」
「あ、だったら同い年ですね。よかったら、名前を・・・」
 ホークス軍曹がそういうと、遠くから「よお!」と声がした。ホークスはその人物をみて、さっと立ち上がり、右腕をこめかみに軽くつけるようにして敬礼した。
「エネル大尉」
「おう、ホークス軍曹もいたのか。おまえら、仲良し?」
 エネルがエドとホークスを交互にみて、聞くと。
「ああ。今仲良しになったところだぜ。同い年だってよ」
「へー。階級は天と地くらい違うのにな」
「え?」
 ホークスが疑問に思う。エネルも敬語を使っていないから、大尉より下の階級なんだろうと、彼は思っていた。
 再び現れた人物によって、ホークスの疑問は畏怖に変わってしまった。
「エルリック大佐ぁ?」
 アルフォンス・エルリック少佐。ホークスは赴任して、一番初めに挨拶をした人間だった。年齢は聞いてないが、見た目は若い。だけど、階級からして自分より年上だろうと思いこんでいた。
「アル・・・」
 アルフォンスの笑っていない笑顔・・・・エドワードは黒い笑顔と呼んでいるが・・・・をむけている。
「アルじゃないだろ!エルリック大佐!これに目を通せっていったでしょう!?それから食事にいってくださいねってあれだけいったのに・・・!」
「だって腹減ったからさ〜」
「腹減ったからさ〜じゃない!これは今日の午後一時までに提出だったんですよ、大佐っ!」
 エネルは一方的にしかられるエドワードを見て笑っているが、アルフォンスが連呼している大佐、という階級に、ホークスは蒼くなっていた。
「た・・・・・大佐・・・!?」
 その言葉に、ふとホークスをみたアルフォンスは、
「ああ、ホークス軍曹。お疲れ様です。そういえば、まだここの司令官を紹介していませんでしたよね。彼が、ここの司令官エドワード・エルリック大佐」
「っ・・・・!?」
 言葉をなくしたホークスは、目を白黒させていた。
「なんだ、知らなかったのか?」
 エネルはそういうが、ホークスは顔を横に振るばかりだ。
「よろしくな、ホークス軍曹。で、エルリック少佐は俺の弟で副官だ」
「おと・・・うと!?」
「あ〜今、何気に身長みただろ」
 エドワードの睨みが怖かったのか、無言で首を横にふった。
「ということで、大佐。執務室にもどってください」
 ホークスは長身の弟に連れ去られる司令官を目で追うことしかできなかった。
「って、19歳でた、大佐ですか!?」
「おう。おまえしらねーの?あいつ12歳で国家錬金術師になったの」
「あ、ああ・・・!じゃあ、彼が」
「泣く子も黙る、エドワード・エルリック大佐、東方司令部司令官さま、だよ」
「そ、そうだったんですか」
「容姿はカワイイのにな〜。おっと、コレは禁句だからな。あと、小さいとか、豆とかダストとか、とにかく小さいものを連想する言葉は禁句だ」
「は、はい」
「だけどよ、人はいいんだよな。言葉が悪くても、畏怖されててもホントは優しい人間だぜ、あいつは。ここの人間みればわかるだろ?」
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