toy ring

□toy ring 6
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「さてと、久しぶりの休暇は家でゆっくりできないし。どこ行こうかな〜っと」
 そう思ったとき、携帯電話が鳴ることに気がついた。
 着信をみると、ウィンリィだ。
「はい、どうしたの」
『アル?今日休みじゃなかった?』
「うん、そうだけど」
『夕方からさ、ウチでトモダチ呼んで、パーティするの』
「パーティ?」
『そうそう。トモダチの誕生日なのよね。だからさ、ヒマなら今からこない?エドも』
「ボクは行けるけど、兄さんはお客さんがいるんだ。どうせ、ウィンリィのことだもん、準備手伝えって言うんでしょ?」
『さ〜すっが、アル!ご名答!じゃ、まってるからね』
 さっさと通信を切ってしまうウィンリィに苦笑を零して、アルフォンスは目的地をウィンリィの自宅にしたのだった。


「さすがアルね。気が利いてるわ」
 ウィンリィの開口一番はそれだった。なぜなら、アルフォンスは両手いっぱいの食材を抱えていたから。
「いろいろ料理するんでしょ?アップルパイはウィンリィが作るだろうと思って、材料は買わなかったけど」
「貴方って、いい旦那さんになれるわね。さ、入って」
 アルフォンスが促されるままに、はいると二人ほど女性がいた。
「アルフォンスさん!?」
 二人は、急に現れた俳優に驚いて、頬を真っ赤にしていた。
「あ、こんにちは」
「あと、主役含め五人来る予定。さ、アルには働いてもらうからね」
「ちょっと、最初っからアテにしてたわけ?」
「えへ。貴方のキッシュおいしいしさ」
「まったく」
 呆れて、アルフォンスは苦笑をする。
「ま、幼馴染には頭上がりません」
「よろしい。じゃ、私はテーブルの準備とかするから。エリサとクローゼはアルを手伝ってあげて」
 エリサとクローゼと呼ばれた女性は、ええ、返事をして、アルフォンスを見た。
「まさか、アルフォンスさんに会えるなんて思わなかったわ」
「ほんとほんと」
「ウィンリィとは幼馴染だからね。呼ばれたら、すぐこなきゃアトが怖いから」
 片目を瞑って、おどけるように話すアルフォンスに好感を覚えて、二人はつぎつぎと質問をしていった。

 会話を楽しみながらも、料理をする手を休めない。そろそろお客がそろうころだ、とウィンリィが言うころには、ほとんどの料理をテーブルに並べていた。

ピンポーンと鳴る呼び鈴にウィンリィが喜んで扉を開くと、友人たちが一斉に入ってきて、アルフォンスを見るなり驚く。もちろん、業界の人もいるのだが、まさかここに俳優が来ているとは思わなかったのだろう。
「きゃ〜アルフォンスがいるなんて〜!」
 一番喜んでいたのは主役のパニーニャ。今日誕生日を迎えたという本人だ。
「そうよ、パニーニャ。貴方のために、アルフォンスが料理を作りました!たくさん食べてね」
「おお!」
 とどよめきが聞こえ、アルフォンスは苦笑をこぼした。

 食事が始まって、しばらくするとアルフォンスの携帯電話が鳴った。
「ちょっと、すみません」
 会話の中心にいたアルフォンスは、玄関へいってその電話を取った。
「はい、」
『こらああ!アル!飯は!?今どこにいる!?』
「えっと、食事は今してる」
『だったら、電話くらいしろよ!』
「だって、ハイデリヒさんと喋るのに夢中で、電話なんて気がつかないと思ったし、こっちも楽しかったし…」
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