toy ring

□toy ring 冬企画3
2ページ/5ページ

 いまさら女物の着物に抵抗があるわけでもなく、エドワードはウィンリィにすいすいと着せられていく。髪は、先に結われていて、メイクもすらすらとこなしていく。
 でも…。
「な、なあ、ウィンリィ!」
「なあに?」
「今更やめよっていってもダメだよな…」
「何いってんのよ!」
「だ、だって、これ着て外でるんだよな!?まだ二日だから初詣客もたくさんいて…は、恥ずかしいよ!」
「いいじゃないの〜女の子同士プラス、アルで行くのも楽しいんじゃない」
「アルがバレたら大混乱だぞ!」
「分からないくらい堂々としていれば大丈夫だって…」
「それでもファンってのは分かるんだよ〜」
 それでも着物を着せられて、ウィンリィの「でっきあがり〜」という能天気な声をきいて、自分の姿を鏡で確認。
「…ははは」
「アル!見てみて」

 寝室からぐいぐいと押されて、エドワードは赤面しながらアルフォンスの前に飛び出すと、アルフォンスは驚きつつもふわり、と笑ってひとこと。
「やぱり、似合うね。お姫様みたいだよ」
 かあっと音がでるくらい赤面しているエドワードに、「じゃ、私も準備するからまってて」とウィンリィは引っ込んでしまう。
「…や、やっぱりって…おまえまさか」
「このまえ、デザイナーの『shin』と会ったじゃない。仕事で。そのとき、買ったの」
「おまえが!?」
「そ。親戚の子にプレゼントする、なんていって」
「…おまえがグルだったのか」
「グルだなんて酷いな。兄さんに似合うと思ったからだよ」
「…」
 うつむいたエドワードに、アルフォンスは
「イヤ…だった?」
 躊躇いがちに聞くと、エドワードは首を横に振る。
「…は、ハズカシイ…」
 アルフォンスは柔らかい笑みを浮かべて、エドワードの額にそっと口づけた。
「すごく、キレイ」
「お、おまえな〜///」
 
「ちょっと〜二人の世界作らないで!じゃ〜ん私もオッケー!」
 ウィンリィは紫の地に菊の花が描かれていた、豪華なものだった。
「さ、行きましょ」

 と、三人で出かけたのはいいが、やはり三人は人目を引き、耳にはいるひそひそ話しは「アレ、『ed』に似てない?」とか、「アルフォンスじゃね?」とか。
 そんな会話を無視して、エドワードは視線をさげつつ初詣を済ませたのだった。



 ウィンリィとわかれて、その姿のまま自宅に戻ったエドワードとアルフォンス。
「疲れた…着物なんて、疲れるだけだぜ」
 文句をいいながらリビングで着物の紐を外そうとしていると…、ふいに後ろから抱きしめられてエドワードは自分の行動を抑えられたことに文句を言おうと、顔を上げた。
「アル」
「もう、僕がなんで着物を着せたか、分かってないんだから」
「え?」
「もちろん、脱がせたかったからだよ」
 耳元でそっと呟く声に、エドワードの体がぞくり、と震えた。
「ちょ、アル…」
 しゅる、っとエドワードの拘束の一つである帯をほどかれ、いくつもの紐を外され、身体は楽になるにつれて、羞恥心が増大していく。
 帯と紐が散乱したリビングから、エドワードを抱き上げて、つれていく先はもちろんベッドしかなく。

 乱れた着物から、見え隠れする白い足に手を這わせ、合わせた衿には、口を寄せて。
「っ…アルっ…」
 襦袢の紐を解かれれば、すでに覆うものはなくなってしまう。広げた着物の黒と、乱れた金糸の髪のコントラストが鮮やかで、アルフォンスは目を細めた。

 唇を合わせて、辛そうに眉を寄せるのは、息が切れて苦しいから。
 逸る心臓が、苦しさを助長させる。
その心臓を早めるのも、アルフォンスの手が、エドワードの胸の小さな突起をつまんだり、転がすから。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ