よみもの アルエド(未来軍部)2

□エルリック大佐誘拐事件(前編)
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 今回は未遂におわったが、運転手の男はテロリストだ。男が、駅にうろうろしているところを、職務質問にかけた憲兵が殴られた。逃走したところへ、エドワードとガネットが通りかかり、そのまま追いかけた、といのうが、コトの顛末だった。
「ありました。時限付きです」
「他のテロリストとの関係は見受けられるか?」
「いえ、爆薬の特徴はこちらではみないタイプですね」
「そうか…」
 と、そのとき、車が一台もこちらに向かってきた。その車からおりたのは、憲兵の黒い服をきた人物。
「大佐!」
「ああ。さっきの憲兵」
 そう、殴られて気絶していた憲兵だった。あわてて駆けつけたのだろう。
だが、あれ?おかしい。一人で駆けてくるなんて。あわてたんだろうか。
「大佐、犯人をこちらの車に」
 憲兵は、そう促すので、エドワードは何もためらうことなく、憲兵が乗ってきた車に乗せた。

「大佐、この車はどうしますか?…って、あれ?」
 ガネットが、車を調べて、外へ出る。だが、さきほどまでいたエドワードが見当たらない。しかも、憲兵も犯人もいない。
「憲兵の声がしたと思ったのだが…あれ?」
 ガネットは、ポツンと一人にされていたのだった。


「ええ?大佐がバイクを盗んだ!?」
 アルフォンスが受付からの連絡をもらって、思わずさけぶ。話をきくと、犯人を追ってるからそれを貸せ、東方司令部にもちにこい、といったらしい。
「今行くから、その人そこで待っていてもらっていて」
 ったく、あんのバカ兄は〜!
 アルフォンスが、受付までいくと、丁度ガネットが帰ってきていた。そして、バイクの持ち主らしき男に、頭を下げて、バイクのキーを渡すのだった。
「ガネット少尉」
「ああ。中佐。大佐は帰って見えますか?」
「え?一緒じゃなかったの?」
「いえ、話せば長くなるんですが…」

 事情をしったアルフォンスは、いまだ行方が分からない兄を想いつつも、数時間が経過した。そして、一つ不審なものが、東方司令部に送られてきたのだった。
「!」
 白いくて四角い箱。その中に、金の髪が一房、入っているだけだった。
「ッ!これは一体!?」
 アルフォンスは、目を見開いた。この、髪の持ち主をアルフォンスは一人しかしらない。金髪の人間は大勢いるが、このようにつややかで、絹のような髪質は……兄のエドワードだけだと、彼は思う。
「誘拐…?」
「こ、国家錬金術師の司令官を誘拐して、何の得があるんですか!?」
 ガネットがいつもより大声で叫んだ。彼が大声を出すということ自体珍しい。
「何を叫んでいる?」
 突如現れたその人物に、一同は敬礼し、大部屋に招きいれた。
「マスタング少将、ようこそ。しかし、大佐がただいま不在でして」
 マスタングは年齢に合わない、童顔をもちあわせているが、時々何かを射抜く眼力の持ち主でもある。洞察力も手伝って、彼は白い箱の中身をおもむろに持ち上げた。
「エルリック中佐。これは、鋼のものか?」
 アルフォンスは、一度目を閉じたが、すぐにひらいて「はい」と断言した。その瞳には迷いがない。
 ロイは何かを察して、後ろにいた錬金術研究所のハンツ大佐とクロナ大尉に振り返る。
「悪いな、ちょっと私用ができたようだ。君たちには待っていてもらわねばならん。だが、カンタンに紹介しよう。こちら、アルフォンス・エルリック中佐。君たちの意見を請いたいと願う人間の弟だよ」
「始めまして。少し急用ができたため、私もすこし出なければなりません。兄の錬金術をお見せすることも、研究の内容を吟味することもできませんが、お待ち頂く間、リーン・エイジ少佐の話でも聞いていただければ、と思います」
「ああ。このまえ、国家錬金術師となった」
 ハンツ大佐と紹介をうけた男、体つきはがっしりとしていて一見研究所にいるようなタイプではない。その横にいるクロナ大尉、こちらは黒髪の女性で二人とも、エイジを知っているようだった。
「彼の医療に対する気持ちは、とても共感できる。ぜひ、会いたいものだ」
 ハンツがそう言うので、アルフォンスは内心ホッとして――いうのもアルフォンスにとって今はお客を迎え入れている場合ではないからだ――ローズ中尉に案内するよう指示した。
 
 残った、アルフォンスとガネットそしてロイは、再び金の髪に視線を落とす。
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