よみもの アルエド(未来軍部)1

□エルリック大佐は司令官?
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はい。待遇もいいですし、丁寧に教えてくれます」
「だろ?ただ・・・」
 エネルは声を潜めた。
「時々、エドの年齢が気に入らないヤツがいるからな。気をつけろよ」
「・・・・はい」
 すぐにピンと来たホークスは、ここにもあるのか、と思う。

 午後のことだった。ホークスがふと、第三書庫に資料を取りにいったときだった。耳にしたのは、男の声二人。
「いいか?大佐を独りにさせることが大事だ。あいつには、侮れない副官がいるからな」
ふっとホークスが身を潜めてその様子をみると、レッサー中佐の部下二人だった。アナン少尉とアモンド准尉だ。ホークス自身、エネルの部下であるが、その上司がレッサー中佐を嫌っていることを知っていた。四十前の中佐で、まだ十代で大佐となったエドは彼にとって目の上の瘤だった。
「エルリック少佐を俺がおびき寄せる。その間にやれよ」
 アモンド准尉がうなずくのをみて、アナン少尉は書庫を退室していった。そして、鈍くひかる銃をアモンドは手にしているのを見た。
 蒼くなりながら、すばやくその書庫を退室していったホークスは、一目散に司令官の執務室へ向かった。
 ノックをすると、はい、と穏やかな声でエルリック少佐が返事をし、ドアを開けた直後、さっと一人の軍曹が、
「エルリック少佐、受付にお客様がいらっしゃいます」
「お客?」
 ホークスより先にそういわれて、ホークスはためらう。
「あ、あの・・・」
「ああ、ホークス軍曹。僕ちょっといってくるので、大佐に用事ならどうぞ」
 そういわれ、ホークスは執務室に入った。
「失礼します」
 デスクに向かうエドワードは、無言でひたすら書類を読んでいる。
「お仕事中にすみません、大佐。あの・・・」
 そういっても、エドワードは顔を上げようとしない。
「大佐」
 何度呼んでも返事をしてくれない。彼は、エドワードの集中すると他の声が聞こえないという癖を知らなかった。
「大佐ッ!」
 どれだけ呼んでもだめなので、ホークスは中庭をみた。もし、銃で狙うなら中庭か、むかい側の建物だ。
 中庭から、執務室へ打ち込むのは無理なので、向かいの建物だろう。たしか、倉庫や書庫のある建物だ。
 何かがキラリと光った。
「!」
 ホークスは椅子に座ったままのエドワードを無理に椅子から落とし、胸に抱くように伏せた。
「なッ!」 
 突然だったため、エドワードが三角の目をして何か言おうとした、その瞬間。
ダーン!
 と激しい銃声が聞こえた。そのため、隣の大部屋からローズ中尉、ガネット少尉が飛び込み、ローズ中尉がエドワードの無事を確認し、ガネットは銃をかまえて、建物の方をみていた。
「大佐!!」
 顔色を変えて飛び込んできたのが、アルフォンスだった。お客だといわれて、いったが誰もいなかったので引き返している途中、激しい音をきいたので、執務室に飛び込んだのだった。
「・・・ホークス軍曹・・・。わりィ」
 ホークスの下敷きになりつつも、無事でいるエドワードにほっとして、だけどホークスの肩から血が流れていた。
「ローズ中尉!ホークス軍曹を医務室へ。ガネット少尉は射程距離から部屋をわりだし緊急配備!」
 二人の部下は敬礼して、部屋を飛び出す。
 部屋に誰もいなくなったところで、アルフォンスはエドワードに
「兄さん、大丈夫!?」
 と眉をひそめて、起こした。
「ああ。俺は平気・・・。いったい誰が」
「ごめん、兄さん。僕が離れた隙に・・・」
「ばか。お前のせいじゃねーだろ」
 だがアルフォンスは唇をかんで、悔しそうに顔をゆがめていた。
「ほら、おまえもいけ」
「狙われたのは兄さんだよ!ほっとけない」
「じゃあ、俺は軍曹のところへ行くけど、おまえは?」
「行く。それ前に、エネル大尉が掴んでいた情報を聞くため、彼も呼ぶよ」
「ああ」


 ローズ少尉を現場に戻し、医務室にはエドワード、アルフォンス、エネル、ホークス四人が集まっていた。
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