よみもの アルエド(未来軍部)1

□バレンタインデーには…
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「エネル」
「ん?」
「俺は、おまえを大切な友人だと思ってるけど、おまえはどうなわけ?」
「友人と思っててもいいさ。ただ、スキがあればいつでも奪いに行く。そうアルにいっておいて」
 エネルはいたずらした子供のような笑顔で笑っていた。
「おまえな・・・。俺の気持ち、無視してんじゃん」
「キライじゃねえだろ?俺のこと」
「友人としてな」
「そんな強調すんなよな。じゃ、よいバレンタインデーを」
「おまえもな」
「俺は良いバレンタインデーだよ」
 エネルは指で自分の唇を二回叩いた。
「な☆」
 再び赤面したエドワードだった。

 エネルが去って、すぐ入れ替わりのようにアルフォンスが帰宅した。そのため、玄関扉の前で出くわした。仕事も速く終わり、ガネットに送ってもらったのだという。
「何、兄さん。顔真っ赤だよ」
「えっ!?そ、そそそそうか?」
「うん」
「気のせいだろ。俺、少し出てくるから」
「え?でもすぐ夕飯作るよ?」
「すぐに帰る」
 そういうと、エドワードは運んでもらったプレゼントもそのままに、逃げるようなカタチで去っていった。

 やべーやべー。アルにばれたら、怒るに決まっている。っていうか、俺被害者じゃん!とわけもわからずイライラしてきた。
「明日はぶん殴ってやる・・・」
「あら、大佐さん。なにやら物騒ね」
 気が付くと、花やの女性店主がにこやかにこちらを見ていた。
「あ、いや。花、売ってくんない?」
「ふふ、花しかありませんもの。どんなもの?あ、まさかバレンタインの贈り物?」
「ああ、まあね」
 店主の女性はまあいいわね、と微笑む。
「どんなのがいいかしら?薔薇とか?それとも・・・」
「ねえ、誠実さを伝えるにはどんな花がいい?」
「そうねえ、マーガレットなんてどうかしら」
 女性が差し出したのは、白い清楚な花だった。
「じゃあ、それとなんか適当に花いれてブーケ作って」
「はい。ちょっとまっててね」
 店主が奥の作業台に行くと、エドワードも花たちを眺めた。
「ねえ、大佐さんの恋人ってどんな人?」
「んー・・・。賢くて、料理うまいし、仕事もできるし・・・。カワイイよ」
「そう、素敵な女性ね」
 ん?女性・・?いや違うけど。でも、変に言われるよりましか。確かに、「素敵な人」だもんな。
「はい、どうぞ」
「うん、綺麗。ありがと」
「どういたしまして」
 エドワードはお金を払うと、なぜかうきうきしてスキップまでしてしまいそうな勢いだ。

「ただいま〜」
 帰宅すると、いつものアルフォンスのお帰り、が聞こえない。部屋をのぞいてみると、電話をしている最中だった。
「うん、だから・・・今日は先約が・・・うん・・・」
 そういって、受話器を置くと、アルフォンスはふうっとため息を付いた。
「どうした?」
「に、兄さん!オカエリ」
「誰かからのお誘いか?」
「う、うん。断ったけど」
 アルフォンスのおかしな態度を気にもせず、エドワードはリビングを見渡す。部屋中花が飾ってあった。
「これって、もらった花たち?」
「うん。僕と兄さんの合わせたらこんなにあったんで、飾っておいた。贈り物は、本とか、時計とか、いろいろあったけど・・・」
「そうか・・・」
 こんなに花があったら、飾れないな。エドワードがうつむくと、心配そうにアルフォンスがのぞきこんできた。
「どうしたの?」
「いや・・・。こんなに花があるって思わなくて・・・。俺もおまえにって思って・・・」
 エドワードは後ろにかくしていた花束を、オズオズと出してきた。
「え!ホントに!?嬉しい」
 アルフォンスは子供のような笑顔をむけて、兄を抱きしめた。顔一つ分背の低いエドワードは
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