よみもの アルエド(未来軍部)1

□たまには外で
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苦手だ、やっぱり。エドワードは、わりィ、と席を立った。
「兄さん」
 後を追うように、アルフォンスも席をたった。
「あ、少佐」
「ごめんね。気分悪いのかも。ちょっとみてくる」
 エドワードは、外にいた。すこしひんやりした空気が、エドワードの頬を冷ましてくれる。
「ふう・・・」
「兄さん」
 アルフォンスが背中で声をかけた。
「・・・。ごめんね、兄さん」
「何謝ってんだよ?ちょっと外の空気が吸いたくなっただけだぜ?」
「でも、無理に誘ったし」
「いいって。お前は戻れよ。せっかくなんだし」
「・・・・兄さんは戻って来てくれるの?」
 エドワードはにっと笑って、
「勝手に帰ったりしないよ」
「うん・・・」
 知ってる。そんな無責任なことはしない。
「・・・・おまえに、ああいう理想があったなんて知らなかった」
「え?理想?」
「明るくて、強がりなんだけど、ぽろっと脆くて守ってあげたいなーって思う人・・・。といっても、ボクを愛してくれるか、が一番だけどね。っていってたじゃん」
「見事な台詞のコピーだね。でもさ、それ聞いて自分だって思わないとこが兄さんの素敵なとこだよね」
「は・・・?」
 エドワードは振り向き、アルフォンスを見た。
「兄さんしかいないじゃない」
 困ったように眉をひそめているアルフォンスを、目を丸くして見つめる。
「・・・・俺は・・・」
「兄さんは、違ったの?理想を聞かれて、違う人を思い浮かべた?」
「んーなわけあるか!」
「そうでしょ?」
 エドワードはかっと赤面して、俯いた。
「・・・料理ができて、散らかしてても文句いいつつ、片付けてくれる人。でも、一番重要なのは、飽きずに傍にいてくれるか、だな。俺、何もしてやれないしさ・・・。そういってたの兄さんだよね」
「飽きてないよな・・・?」
「飽きる?何に?ボクが生まれた時から一緒にいるんだよ?・・・どんなことも一緒に、乗り越えてきたじゃない」
「うん・・・」
「あんまりカワイイこというと、今日はもう家に帰ちゃうよ。・・・意味、わかるよね」
 すっと目を細めて、微かな笑みを浮かべる弟に、不本意ながらもドキリとして、エドワードはあわててアルフォンスの腕を引っ張る。
「戻ろう、みんなんとこ」
「そう?残念」
 肩をすくめてみせるアルフォンスを睨み、二人は席にもどった。
「きたきた、もう、遅いですよ、大佐」
「わるい」
「少佐も、呑んでください」
 二人は、押しつけられるように酒を持たされた。
「たいさ〜。実はこの前少佐を送ってったときなんですけどね〜」
 相当呑んで、酔っているこの人物は、ゴードン軍曹だ。
「おう」
「実は少佐のやつ、あんまり酔ってなかったんですよ」
「へ?」
「実は、俺たちが大佐と呑みたいから、誘ってくれって頼んだんですよ〜。でも、大佐は嫌がるから、といってなかなかうんといわないんです。でも、いい手がある、って少佐が。ま、成功したってことなんですけどね、大佐がここにいらっしゃるってことは」
「・・・・。それ、ホントか?」
「はい。俺たち、すっげーうれしいですよ〜大佐と呑めて。一生のタカラモンです!」
 ゴードンは泣き上戸なのか、ううう・・・と泣き出す。
「そんな大げさだぜ・・・。いつでも来るからよ、俺」
「ほんとですか〜!ウレシイッス!お〜い!みんなー!大佐がこれからも呑みにくるってよ〜!」
 うわあああと歓声とともに拍手された。
「うげ・・・」
「何言ったの?兄さん・・・」
「おま、おまえが俺を騙すから・・・!」
「え?あ、この前のこと?バレたんだ」
 さわやかに笑ってみせるアルフォンス。さすが大佐の右腕。策士だな、と関心してしまうが、エドワードはやはり面白くない。
 ぶす・・・っと顔を逸らしていた。
「ほら、そんな顔してると、女の子たちにカワイイっていわれるよ」
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