神棚・文

□黒雪姫
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◆黒雪姫◆


 昔々あるところに、とても美しいお妃さまととても腹黒い王様が治める、平和な国がありました。

 ある時、妃と王様の間に子供が生まれました。その子はとても肌が白く透明感があり、生まれながらにして影薄そうな可愛らしい男の子でした。

 あまりに可愛らしかったので、お妃様はこう言いました。


「ねぇ、この子は女の子として育てましょうよ!」

「またそんな重大なことをサラッと…いいけどよ。名前どーすんだよ」

「そうねぇ…雪みたいに白いけど腹黒そうな雰囲気はあなたそっくりだしー…」

「おい、そっくりってどういうことよ」

「そうだ、黒雪姫でよくない?」

「命名軽っ!そんな軽く決めていいのか!?」


 そんな感じで黒雪姫と名付けられたその子はすくすくと育ち、とうとう妃と並ぶ程の美貌の持ち主となりました。

 それが気になった妃はある日、不思議な鏡に尋ねました。


「かがみよかがみ、世界で一番美しいのはだぁれ」

「あ?知らねー…ですよ、ンなこと」

「ちゃんと答えなさいよ!」

「…しょーがねーな。黒雪姫じゃね?…ですか」

「なに!?」


 若干イラっとした妃は家来に、黒雪姫に逆エビの刑をするよう命じました。

 ですがいくら探しても姫の姿が見当たりません。それもそのはず、嫌な予感がした黒雪姫は一人でふらふらと森まで逃げてしまっていたのです。


「あぁっ!逆エビはもういいわ!めんどくさい!それより心配だわ。どこいったのかしら…」


 その頃、黒雪姫はすっかり森の中で迷っていました。そのままフラフラしていると小人さん達にであいました。その中でも特に見目麗しい小人が尋ねます。


「こんな所でどうしたんだ?」

「…道に迷ってしまいました」


 ωの形の口をした小人が提案します。


「じゃあ俺らのとこで休んでけよ!」

「ありがとうございます」

「………」


 もう一人が黙って指した方を見ると、小屋がありました。さっきの麗しい小人が言います。


「夜だし小屋に寄る?…キタコレ」


 黒雪姫は駄洒落に引きながらも、先導する小人達についていきました。

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