CROSS×HEART fortune・crystal・stuggle 

□退魔師
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 その昔、この世界は失敗作だと言った人が居た気がした。
 気がした、と言うのは、今ではその人が本当に居たのかどうかすらあいまいだからだ。
 でも、確かに覚えている。何故この世界は失敗作なのかと、僕は訊いたんだ。そうすると彼はあっさり答えた。

『この世界を創った神が既に壊れているからだ』

 と

「かみさまが?」

『ああ、神が』

「かみさまにあったことがあるの?」

『……』

 彼はこの質問には答えようとはしなかった。
 しばらくすると彼は訊き返してきた。

『お前は逢ってみたいか?』

「かみさまに?」

『そうだ』

「んー、わかんない」

『判らない?』

「うん、わかんない」

『……そうか』

 納得した顔付きになると彼は後ろを振り向く。

『ならば覚えておけ、神には触れるな。いずれお前は逆らえない運命に出くわす事になるだろう。その時は自分の意志で決めろ。運命に導かれるか、運命と共にあるか、運命に抗おうとするか』

「きみはどうするの?」

『俺?』

「うん、うんめーにどうするの?」

『俺は……そうだな』

 彼はしばらく考えると──

『運命を破壊する』

 そして、次の言葉を最後に姿を消した。

『……時間だ、命あらばまた逢おう。王の器の魂よ』













 失敗したら人は必ず言うよね、失敗したって。 僕も今まさに失敗したんだけど、これはもう失敗したと言うよりも面倒くさいの方が的確だ。

 ああ、自己紹介が遅れたね。僕の名前は藤代 景祐(フジシロ ケイスケ)。
 冬休みの終わりを目前に控えた、中学三年生。
 悩みの種は、普通は受験勉強とかが普通なんだろうけど僕の学校はエスカレーター式だから、特に悩む必要はない。
 で、僕の失敗は今の時期を考えれば結構深刻なんだよね。
 いくらエスカレーターと言っても流石に何かあったら入学を取り消されたりもする。加えて、僕が通う学校、『御崎市立清星学園(ミサキシリツセイショウガクエン)』はなかなか有名な学校だ。
 この学校は幼〜大学までひとまとまりにされており、毎年高、大から優秀な生徒を世に送り出している。

 いや、今そんな事は重要じゃなかった。
 まあ、今回のは──いや、『今回も』時期を考えなくてもかなり嫌な失敗だ。
 そうだね、一言で表すならば……






 いきなりだけど、警察に捕まりました。
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