CROSS×HEART fortune・crystal・stuggle
□フォーチュン・クリスタル
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「君が依頼主、なの?」
その言葉は彼──白兎君に向けてのものだ。
「そうさ、そんなに意外かい?」
「そりゃ……」
当たり前だ。
彼、白兎君は僕達と同じ学校に通っており、裏の仕事も理解しており、鈴とは隣りのクラス、と比較的近い位置にいるものの、裏の仕事以外では滅多に会わない。
しかも、その実力は僕や鈴とほぼ大差ない。
つまり、仕事の内容は1人じゃ難しい、ということになってくる。
事と次第によっては断る事になるかもしれない。
「ま、気にしないでくれ。別にそこまで困難なものじゃないよ、ぶっちゃけ邪魔でも入らない限り楽勝だぜ☆ みたいなものだから」
「そ、それならいいけど……」
……白兎くんは全く掴みどころがない。考えが読めないとも言えるだろう。
「つーか、さっさと話せ。あたしは早く終わらせたい」
「ごめんね、鈴ちゃん。それじゃ時間になったし、依頼の話しにしようか」
時計を見ると、ピッタリ10時になっていた。そんなに話していただろうか。
だけど針が進んでるんだ、そのぐらい話したんだろう。
「始めからそうすればいいものを……」
隣で鈴がブツブツいってるのを白兎君はそれを無視して依頼内容を話し始める。
「まず、この依頼はあるものを集めてほしいんだ」
「あるもの?」
「……これさ」
白兎君は制服のポケットから『薄緑色をしたひし形のもの』と、『赤色の二等辺三角形に近い形』の、どちらも透き通る石を取り出した。
ただの石なら「なんだこれ?」と言うだけだろう。
だが、この石は魔力を帯びている。しかも、その魔力もとんでもなく密度が高い事からただの石でない事が判る。
「これは……」
「なんだこれ?」
……鈴は気付いてないのかな? もしそうなら今までの魔力察知の訓練は何だったのかと、今猛烈に説教してやりたい。
だけど、今はそんな暇はない。鈴を無視する事にする。
「この魔力は……」
「この石の名は『フォーチュン・クリスタル』。君達には日本中に散らばってしまった、この魔石を捜索、封印してもらいたい」
「フォーチュン……クリスタル……?」
「日本中に散らばったって……、どーゆー事だ?」
「言葉の通りさ。元々複数あったものが散らばってしまったんだよ」
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