CROSS×HEART fortune・crystal・stuggle
□フォーチュン・クリスタル
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「だけど日本中って、どんなとこから落っことしたらそんな散らばるんだ?」
「……『次元の渦』って知ってるかい?」
「っ! まさか、『多次元不完全境界内』で!?」
「その辺の知識はあるみたいだね」
「当たり前だよ、それを知らなきゃこの世界じゃ……」
「なんだそれ?」
……僕は軽く鈴の頭をグーで殴る。
「〜〜〜〜っつう! いきなり何すんだ!」
鈴はハイキックを放つが僕はそれを避ける。
避けるさいに何か白い布が見えたけど、鈴には日常茶飯事に近い。見えようが見えまいが、そうゆう事は気にしない性格なので、僕も無視する。
それよりも問題は、確かに昔必死になってまで覚えさせた、裏の常識的知識を忘れていた。という事だ。
「り〜〜ん〜〜?」
「っ!?」
僕は鈴の双肩に手をかける。なるべくにっこり笑って。友好的に。黒いオーラを出して。
「確かに覚えさせたよね? 二週間以上も掛けて。忘れてないよねえ?」
「そ、れはぁ―…」
おおっといけない、友好スマイルに鈴が怖がっちゃってるよ。それよりも復習でもしようか。
「もう一度教えるから今度は忘れないように。いいね」
「わ、わかった」
その言葉を聞いたら僕は手を放す。
「いいかい、『多次元不完全境界内』ってゆうのは、簡単に言えば、この世界じゃない世界、異次元空間の通路みたいなものなんだ。通路は『多次元境界』って言われるけど、その中でまだ通路が不安定。言うなれば工事中な所がある。それが『多次元不完全境界内』」
「へ〜〜」
「へ〜〜じゃないよ。で、その中で事故が起こって、別の次元へと送られてしまう事がある。それがさっき白兎君が言った、『次元の渦』」
「ああ、それで日本に散らばったのか」
「さすが鈴ちゃん、その通りだよ。で、その『次元の渦』に巻き込まれて今のこの現状ってワケさ」
「で、白兎君。依頼の話に戻るけど、その石を集めればいいの?」
「いや、違うよ。集めるだけじゃない、封印もしてほしいんだ」
封印──その言葉の重みは相当なものだ。封印って言うのはかけた相手を行動不能にするのと同義。そうやすやすとできるものではない。そこは白兎君も判っているはずだ。
なのに、日本中に散らばったものを探しながら、探したものを封印というのはいくら僕達退魔師の力でも相当にキツい。
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