CROSS×HEART fortune・crystal・stuggle 

□フォーチュン・クリスタル
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「……どうしても封印が必要なの?」

 出来れば封印は避けたい。だけど白兎君はそんな考えを知ってか知らずかその言葉を肯定する。

「うん。でないと危険だからね」

「……はぁ」

 仕方ない。諦めるしかなさそうだ。

「大丈夫だよ。このフォーチュン・クリスタルは封印の仕方が特定なんだ」

「……封印固定の石ってこと?」

「その通り」

「はあ……、封印の方法は?」

「呪われた道具をかざして封印の呪文を唱えるだけだよ」

 呪われた……道具?

「……それで鈴の村正が必要なんだ?」

「ん? どーゆー意味?」

「つまり、僕等──裏の世界の人間でも呪われた道具、村正みたいな道具は持ち合わせる人が少ないんだ。だから鈴がいないと封印出来ないってワケ」

「でもしらさぎは出来てるじゃないか」

「あっ……」

 そう言われれば確かにおかしい。白兎君は呪われた道具なんて持っていないハズなんだ。

「ああ、コレは違うよ。なんとか次元の渦の中で回収したものでね、呪文も教えないといけないし」

「なるほど……」

 つまり二個分は量が減ったという事か、ならあとは……

「あれ? てゆーか何個封印すればいいの?」


「あれ、言ってなかったっけ?」

「聞いてないぞ」

「ごめんごめん、具体的な数は27個だったから残り25個だね」

「に……25」

 正直言ってキツい数だな。

「とりあえず封印をしてみようか。コレが出来なかったら見つけてもどうにもならないし」

 それはそうだ。

「じゃ、鈴ちゃん、やってみようか」

「わかった」

 そう言うと鈴は村正を鞘から抜いた。

「いいかい? まずはこの状態のクリスタルに、村正の切っ先を真っ直ぐ向けて」

「よし」

 鈴は両手で村正を構える。

「うん、そのまま呪文を唱えるんだ。僕の後に続けて」

「ああ」

「時を見据えよ、過去を見据えよ、未来を見据えよ」

「時を見据えよ、過去を見据えよ、未来を見据えよ」

「我は全てを見据えし運命を補完せんとする」

「我は全てを見据えし運命を補完せんとする」

「主を、時を、命を、我が手に……」

「主を、時を、命を、我が手に……」

「封印開始!」

「封印開始っ!」

 唱え終わるとクリスタルは光り出し、村正に吸い込まれるように消えた。

「これで封印完了」

「意外とあっけないのな」
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