CROSS×HEART fortune・crystal・stuggle 

□宿命との邂逅
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「ドライヤーやタオルとかは?」

「OK」

「夜食は?」

「大丈夫」

「……うん、チェック終了。忘れ物は無しだ」

「当たり前だ。一週間前から準備してある」

「よしよし。兄さんも、鈴のそうゆうとこを見習えばいいのにね……」

「そう言えばこうはいつ帰ってくんの?」

 さらっと、今まで……と言うか昨日の夜に、思い付いた疑問を口走ってみた。

 確か1ヶ月で帰ってくるって言ってた。なのに、全然そんな気配がない。

「ああ、追加で依頼が入ったんだって。白兎君が所属してる『自由の楽園』の偉い人から直々らしいよ」

「はー、じゃあまだしばらく無理か……」

「そう言う事だね」

 そこで話しを区切ると、見定めたかのようなタイミングで、車のクラクションが聞こえる。

「おーい、鈴ちゃーーん!」

「むお?」

 どうやら迎えの車が来たみたいだ。ちーちゃんや他の子も何人か乗ってる。

「やあ鈴ちゃん、景祐君、久し振り」

「ども」

「お久し振りです、おじさん」

「……おや、今日は庚祐君はいないのかい?」

「ああ……なんと言いますか。プチ旅行みたいなもので」

「そうか、頼み事があったんだが、またの機会にしよう」

「はあ、すみません」

 運転手はちーちゃんのお父さん、玉枷 義国(タマカセ ヨシクニ)。コンピューター関係の仕事をしているとは聞いてるけど詳しくは知らん。こうはそのパソコンの技術だかなんだか知らんが、詳しいおかげでよく駆り出される。けいとあのアホ警察官みたいだな。

「鈴ちゃん、荷物は後ろ開けて入れといてくれるかい」

「おう!」

「景祐君、君は来ないのかい?」

「いえ、妹のクラスメイトのお泊まり会に混じるのはちょっと……」

「はは、まあそうだろうね」

「荷物入れ終わったよ、お父さん」

「おう。じゃあね、景祐君。庚祐君にも宜しく言っといてくれ」

「はい」

 車のエンジンが再び起動し、あたし達を乗せたワゴン車は玉枷家へと走り出す。

 その際にけいがあたし達に手を振ってこう言ってくれた。

「行ってらっしゃい」




  10分後

「着いたよ」

 あたし達は車から降りて玉枷家の玄関の扉を開いた。

 洋風の造りなので靴は脱がず、そのまま中に入る。
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