第二本棚
□ReBirthday
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「今日が、何の日か分かるか?そのモノ覚えの悪い頭でも流石に覚えているだろう?ここまで全てが被っているのだからね。」
そんな小馬鹿にした口調とは裏腹にザエルアポロはふふ、と笑いを零しながら問い掛けた。
俺の腕の中くるりと向き合う様にザエルアポロは体勢を変える。
「さァ、何の日だ。答えてみろよ。イールフォルト。」
顔に掛かる桃色の髪の毛を払う様に後ろに撫で付けてやると何処か満足気に目を細め、口端を引き上げ弧を描きながらゆっくりと開いた。
「僕達が生まれて、」
「ああ。」
「僕が先に死んで、」
「ああ。」
「僕が兄貴を食い殺して、」
「ああ。」
「僕達が破面になった日だ。」
「ああ。」
次は何の日になるだろう、と問い掛ける声は僅かに掠れて居たが、気付かないフリをしてただその身体を抱き寄せた。
きっと次は離れる番なのだ。
――飲み込んだ言葉。
人間の暦の6月22日。
次の6月22日、俺達は地獄で再会を果たした。
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誕生日おめでとう兄弟。
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