第一本棚
□スキンシップ
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「あ…っ、もう少し…ん、上」
「……、ザエルアポロ」
「何…?そ、こ…っあ」
「変な声を出すな」
「は、ぁ…だってぇ気持ちい、いんだもん。兄さんはマッサージが上手いね」
心底うっとりとした声で答える。
狭いとは言えないこの場所でここ毎日の様に顔を合わせていた実の弟。
不意に数日…いや正確には6日か。全く姿を見ない日がもうすぐで1週間になるというところで俺の部屋に自ら足を運んできた。
僕に会えなくて淋しかったでしょ?
幾らでも僕に触れさせてやるからマッサージをしろ、と。
何て理不尽と思うが可愛い可愛い弟が1週間近く研究所にほぼ不眠不休で閉じこもり、疲れているにも関わらず俺に会いに来たのだから歓迎しないわけが無い。
だがマッサージをしていると、あん、だの喘ぎ声としか取れない様な声を上げるものだから溜まったものでは無い。何が溜まるのかとは聞くな。
「っん、そこ…もっと強くして」
俺のベットに俯せに寝転び枕を抱き抱える様にしてマッサージを受けている。身体のラインがくっきりと出るこの服。前よりも一段と痩せたんじゃないだろうか。
思わず脇腹に手を滑らせるとやん、と女みたいな声を上げ身体をびくりと竦めこっちを見てきた。
「頼むから変な声を出さないでくれ」
「だって僕、生れつき淫乱なんだもん」
……。
敏感の間違いじゃないのか?
と問いたかったが肩越しに見詰めてくる弟の目が愉しそうに笑っているから弟にとっては間違っていないらしい。
暫く弟の上げる喘ぎ(と錯覚させる)声と戦いながらマッサージを続けていると身体を横向きに変えた。相変わらず枕を抱いたままだ。どうした?という様に視線を遣ると足先でちょんっと突かれ続けろ、と。全く。
横向きに身体を横たえている為にさっきより顔が見える。俺のマッサージのお陰で血行が良くなってきたのかほんのり少なく露出している肌が朱くなり、疲労により強張っていた身体が解れてきた様で擽ったそうに足をぱたぱたとばたつかせ始めたので手を止めた。
「有り難う兄さん」
邪の含まれない笑顔でそう言われるものだから素直に嬉しいと思ってしまう。
「じゃあ次は僕がサービス。奉仕してあげるよ」
「俺をマッサージしてくれるのか?」
「そう、兄さんを」
前言撤回。サービスだ、奉仕だ、なんて言葉を聞いたものだから心臓がどきりとした。遊ばれているな、と軽く掌で額を押さえていると弟がベットを這い擦り寄り腰に抱き着いてきた。俺は瞬時に腰を引いていた。
「何で逃げるんだよ」
「何しようとしてるんだ」
「奉仕」
ぴしゃりと即答された。おいおい、と内心焦っていると腰紐を口に咥え器用に解いていく。
俺の顔には明らかな焦りが出ているのだろう弟は上目に様子を伺いながら目を細めいかにも愉しそうだ。
「兄さんのココすごい事になっているの知っているんだから、僕」
はふぅ、と熱の篭った息を吐きながら袴の布越しに指をゆっくりと這わせられる。
この後何があったかは兄弟の秘密にしておいてくれ。
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とてもありがちネタ。それでもイルザエだと楽しい。書いてて。
二人はとても素敵な夜を過ごしました。