第一本棚

□アポロ
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「邪魔するぞ兄弟!」
「邪魔するなら帰れ」

手土産を片手にずかずかと部屋へ侵入してくるのは破面一ブラコンとして知られるイールフォルト・グランツ。

部屋の中で煩わしそうに眉を寄せしっしっと手で払う仕種を見せるのはイールフォルトの弟ザエルアポロ・グランツ。

唯一無二の兄弟なのである。

「そう言うな。昨日現世に降りたのだが、面白いモノ…というか愛らしいモノを見付けたからお前にお土産として買ってきた」

部屋の主に断りも無く革張りの白いソファに座ると包みを差し出す。

「アポロチョコ、とか言ったら蹴るよカス」

その言葉と同時に満面の笑みと差し出した包みを下げていく。

自分の為に持って来られたという包みを取り上げ無遠慮に破けば中からは案の定。

ドカッ

「兄を蹴るもんじゃない!」

ソファからずり落ちイタタと蹴られた箇所を摩りながら抗議してみるが当の本人は全く聞いていない。

それどころかわざわざ買ってきたそれをぽい、と投げ返してきた。

「僕はお前みたいに暇じゃないから」
「よく見ろ兄弟!」

くるりと背を向けた瞬間いつの間にか立ち上がっていたイールフォルトに肩を掴まれ反転させられた。

距離が近い。はっきり言ってホント邪魔。

「…、何を見ろと?」
「これはアポロチョコの新商品でチーズケーキ味だ」
「あっそ。で?」
「通常のピンクの苺味もお前の様で愛らしいが、この色!俺の髪の色の様な黄色!まるでお前が俺に犯されているみた…」
「黙れ。消えろ。」

ドガッ
先程と変わって容赦無い蹴りがイールフォルトに命中。

「お前なんか知らない」

蹴り飛ばされたイールフォルトは部屋の外へ。

その日ザエルアポロの部屋の扉は二度と開きませんでした。










「ルミーナ、ベローナ、それ処分しておいてくれ。……あ、待て。やっぱり一つだけ食べておく」










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拍手お礼小説第一弾。
新商品のアポロチョコを見ての妄想の果てに。

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