第一本棚
□ある朝の一コマ
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朝。今日はイールフォルトが朝食当番である。6:1で兄:弟で割り振られているが7日に一回でもぞっこんラブな弟の手作り(でもなかったりする)朝食を食べられるのでそれだけで幸せなのである。
それはさておき。
「ザエルは目玉焼き半熟だったよな?」
「ん」
一応返事をしているもののあまり寝起きのあまり宜しくないザエルアポロはテーブルに向かい合わせに椅子がセッティングされている片方に座りぼーっとしている。
そんな様子に気を悪くした風も無くイールフォルトは腰にエプロンを巻き器用に片手で玉子を割るとフライパンに落し鼻歌混じりに料理をしている。
じゅうじゅうという食欲をそそる音に楽しげに鼻歌混じりに調理を続けるイールフォルトの背中を頬杖付きながらザエルアポロは見ていた。
「よし。出来たぞ」
皿を片手に2枚器用に持ちもう片方には調味料を持ちテーブルの方に歩いてきた。
「僕ベーコンじゃなくてハムが良かったんだけど」
キレイに盛りつけられた皿を覗きながらザエルアポロは呟くと受け取り自分の前に置く。
そうだったか。と未だに笑みを浮かべながら悪いなと軽い謝罪の言葉を口にし調味料と皿を置きエプロンを外し椅子の背凭れ部分に掛けると腰を下ろした。
「いただきます」
「どうぞ」
ザエルアポロがフォークを玉子に刺すと中からとろりと黄身が溢れ出した。その光景に口許は嬉しそうに口角を上げている。
イールフォルトもつられて静かに笑みを浮かべた。
「前から言おうと思っていたんだが…練乳をかけるのは止めた方が良いと思うぞ」
「なら兄さんは何でもマヨネーズかけるの止めたら」
「マヨネーズは合うから良いんだ」
「だったら練乳も合うんだよ」
「……」
「……」
暫しの間、無言の時間が流れるもののその後も楽しい朝食は続きました。
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拍手お礼小説第二弾。
二人とも味オンチだったら萌える、というお話。