第一本棚
□ある朝の一コマ2
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(「でれつん」の続きとしてお読み下さい)
「ザエルアポロ…また牛乳残しているな?ちゃんと飲まなきゃダメだぞ?」
朝食を食べ終わりテーブルの上を片しながらイールフォルトは残っているグラスをずいっと滑らす。
「だって僕、牛乳苦手なんだもの」
ザエルアポロはきゅうっと眉を寄せるとそれでも素直にグラスを両手で持ってみる。
飲もうかと口を近付けグラスを傾けるもやっぱり思い止まってしまう。
「飲まないと大きくなれないぞ?」
「兄さんは僕に大きくなって欲しいの?」
思わずザエルアポロはきょとんとした顔になると首を傾ける。
「…。大きくはならなくて良いんだが…寧ろ俺がお前を守るから良いんだ。じゃなくて、このまま骨まで細くなったら困るだろ。」
「お前を守る」の言葉にザエルアポロはグラスを持っていた手を離すと口元に寄せてキャっと嬉しそうに女の子の様な声を上げた。
その様子に愛しさが込み上げてくるイールフォルト。
「で、だ。どうして牛乳が苦手なんだ?」
「それは……。ねぇ、僕が牛乳飲んで噎せたところ想像してみてよ。」
理由を話たくないのか逸らされてるのがよく分かった。
それでも一応ザエルアポロが言う事を想像してみる。
噎せてしまい、苦しそうに咳込み、顔を朱くし、口元には白い液体…
「ッ…卑猥だ」
「でっしょう〜?」
ザエルアポロは小さく呟かれた同意を示す言葉にグラスを密かに押し戻してみた。
「あ…いや、だが、それが理由じゃないだろう?」
鼻を片手で押さえながら何とかトリップから帰ってくると押し戻してきたグラスをもう片方の手で止める。
流石にここで流されるわけにはいかな、と。
「だって、ね……
兄さんのおっぱいみたいで何かイヤなの
兄さん、牛だし」
「……。それを言われると俺も嫌だな」
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拍手お礼小説第三弾。
2の割には前回から続いてはいません。
もうごめんなさいの一言に尽きます。