小噺

□お仕事してます?!
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・・・何でそんな大事になるんだよ・・・?






―お仕事してます?!―







一番隊へ書類を提出しに行った帰り路、日番谷は軽い困惑の中にいた。その原因というのは・・・


「お早う御座います、日番谷隊長!!」

『ああ、お早う』

「あ、あの・・・」

『ん?』

「じ、自分、今日も真面目に仕事させて頂いてます!!」

『は?』

「で、では仕事に戻ります!!」

『あ、おい・・・今日、何人目だ・・・?』


足早に去っていく隊士の背中に不思議そうに呟く。そう、これが彼の困惑の原因だった。何故か会う人物のほとんどに“仕事頑張ってます”宣言をされるのだ。

それが十番隊士ならまだ分かる。だが他の隊の者までが言ってくるのだ。


(仕事してんのは感心なんだが・・・何で俺に言ってくんだ・・・?)


そう不思議に思いつつ隊舎に戻った。当然、仕事してますアピールをしてくる部下たちに苦笑と労いの言葉をかけて執務室に入った。


「あ、隊長お帰りなさい♪」


迎えてくるのは、珍しくも机に向かって仕事をする副官。そんな副官をもの珍しそうに、そして不思議そうに見遣る日番谷。


「隊長?どうかしました?」

『いや・・・珍しくちゃんとしてんなぁと思ってな』

「珍しくって!・・・まぁ私も負けたくないですし」

『はぁ?』


何にだよ?と日番谷が問いかけようとした時に、2つの声が同時に響いた。


「「日番谷隊長はいらっしゃいますか?書類を届けに参りました」」

『ああ、入れ』

「「失礼します」」


入ってきたのは檜佐木・阿散井の副官組。


「「どうぞ、日番谷隊長」」


同時に差し出される書類を「ご苦労さま」と言って受け取る・・・が、受け取ってすぐに顔を上げて少し驚いた様子で2人に問いかけた。


『これ・・・提出はまだ随分先のはずだが・・・』


えらい早いな、と感心したような視線を向ける日番谷に、ぐいっと阿散井を追いやるように檜佐木が前に出て主張する。


「は、はいっ!頑張りましたから!!」

「あ、ちょっ、檜佐木先輩、ずるいっスよ?!日番谷隊長、俺も頑張りました!!」

『お、おお・・・そうだな、お疲れ様』


労いの言葉と共に浮かべられる、少し戸惑い気味の笑顔。それは彼らにとって何よりの褒美で。

2人共顔を赤らめながら“これからも頑張りますから”と宣言し隊舎に戻っていった。


(・・・何なんだ?今日は・・・)


宣言された日番谷としては全く理解が出来ない。首を傾げつつ席に着くと、今度は机の上に置かれた白い封筒が目に入った。


『・・・なんだ、コレ?』

「あ〜、それさっき吉良が置いていきましたよ」

『吉良が?』


何だ?と思いつつ封を開け・・・・日番谷はまたもや首を傾げることになった。


『・・・意味が分かんねぇし』

「何て書いてあったんですか?」


見せてください、と興味津々で日番谷の手から手紙を抜き取った乱菊は、すぐ溜め息を吐いた。


「・・・ギンの奴・・・・」


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