小噺

キミの笑顔が好きだから
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もう、諦めたりせぇへんよ。







―キミの笑顔が好きだから―








三番隊、虚討伐隊。
この日は、普段全くやる気のない隊長が自ら部隊を率いて来ていた。そのためいつもより早く片が付くと思われていた・・・のだが。

それはちょっとした、ほんの僅かの油断だった。狙われた部下を助けようと、虚閃を撃とうとした大虚を倒した瞬間。今度は後ろから市丸自身が別の大虚たちの虚閃をまともに喰らってしまった。

失いそうになる意識をなんとか引きとめ、ギリギリのところで残る大虚も倒した。


痛みと安心から意識が薄れていく。もう、倒れまいと踏ん張る力も入らない。


それでも“何があっても部下を護るのが隊長の役目だ”という、自分が思いを寄せて止まない少年の意志を、自分も体現出来たことが嬉しくて、そんな自分が誇らしくて。


(ああ、死ぬんなら今がええなぁ)
(でも最後にもう一回会いたかったなぁ)

などと、彼らしくもないことを思い、目を閉じた。




深淵へと沈んでいく意識の中、冷たい感覚を覚える。自分を呼ぶ愛しい人の声も聴こえる気がする。

(ああ、嬉しいなぁ・・・ええコトすると、願いが叶うんやなぁ・・・)

目を開ければ、幻も見ることが出来るだろうか?そう思ったが、一度瞑ってしまった目を開ける力はもう残っていなかった。



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