小噺

居酒屋相談所〜黒崎一護は敵ですか?編〜
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きっと一生敵わない。







―居酒屋相談所〜黒崎一護は敵ですか?!編〜―







終業時刻が近づく瀞霊廷。その廊下に、少し緊張気味の声が響く。


「冬獅郎!」

『浮竹、どうしたんだ、そんなに慌てて』

「あ、あのさ、今日暇か?」

『今日?何で?』


いつものニコニコ顔とは違う、緊張した面持ちの浮竹の様子に、何かあるのか?と不思議そうに首を傾げる仕草が可愛すぎる。


「あ、あのさ・・・」

「と〜しろ〜?」


意を決して発しようとした言葉は、第三者の、屈託の無い声によって阻まれてしまった。


『黒崎・・・部屋で待ってろっつっただろ』

「だって遅ぇんだもん。まだ終わんねぇの、仕事?」

『今終わったとこだ』

「やった!じゃ、早く行こうぜ!」


何か意味深な遣り取りに、浮竹は日番谷と、いつの間にか瀞霊廷に来ていた一護を交互に見遣った。そして恐る恐る声を掛けた。


「え、っと・・・何処か行くのかい・・・?」

「あ、浮竹さん、こんちは!」


きっと今初めて浮竹に気が付いたのだろう、一護は少しタイミングのずれた挨拶をし、そして嬉しそうな笑顔で浮竹の問いに答えた。


「冬獅郎が飯食いに連れてってくれるんすよ!」

「え・・・」

『いきなり来て奢れとは、図々しい奴だ』

「なっ、確かにどっか連れてって欲しいとは言ったけど・・・奢ってやるっつったのは冬獅郎だろ?」

『はいはい』


その遣り取りは、とても楽しそうで、微笑ましいものだったが、浮竹にとっては爆弾を落とされたようなものだった。


「そ、そうなんだ・・・2人で?」

『ああ・・・松本は仕事が終わってねぇからな。仕方ねぇ』

「そうか・・・」

『それより、何か用があったんじゃねぇのか?仕事か?』

「あ、いや、いいんだ、もう・・・」


酷く落ち込んでいるような浮竹を、日番谷は心配そうに顔を覗き込んだ。


『おい、どうした?』

「本当にいいんだ、気にしないでくれ」


それでも何だか落ち込んでいるような浮竹に日番谷はもう一度問いかけようとしたが、早く行ってあげてくれ、と言う浮竹に背を押され、後ろ髪を引かれつつも一護とその場を後にした。


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