小噺

□お仕事してます?!
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吉良から届けられたのは市丸からの手紙。そしてそこには、



――親愛なる日番谷冬獅郎さま

ほんまは会いに行きたいけど、仕事があるから手紙にしました。
ボクは今日も仕事頑張ってます!・・・こんなボク、どうですか?

市丸ギン――




と書かれていた。


「本当にちゃっかりしてんだから・・・」

『何なんだよ、コレ』

「アピールに決まってるじゃないですか」

『アピール・・・?』


だから意味が分かんねぇよ、と首を傾げる日番谷に、ふぅ、と溜め息を吐き、乱菊が説明する。


「仕事してるって、アピールしてるんですよ。さっき修兵と恋次もしてたじゃないですか」

『ああ・・・じゃあ、今日のは全部それなのか?』

「全部って?」

『今日、すれ違う奴のほとんどに“仕事してます”って言われたんだよ』

「ほ、ほとんどっ?!たっ、例えば誰に?!」

『あ〜六番隊の奴らとか、八番隊の奴らとか・・・とにかく、今日会った奴らほとんどだよ』

「うっそ〜!!」


それは日番谷に好意を寄せている者の多さを物語ると共に、昨日の日番谷の発言がもう瀞零廷中に広まっていることを意味する。

いくらなんでも早すぎない?!と頭を抱え込む副官を余所に、彼女の人気者の上司は不思議そうに首を傾げた。


『でも、何で俺に言ってくるんだ?』


自分のとこの隊長に言えばいいだろうに、という鈍感この上ないセリフに乱菊は軽い眩暈を覚えた。


「・・・隊長の所為ですよ」

『はぁ?』

「昨日隊長が仰ったんじゃないですか。“仕事が出来る奴が好きだ”って」

『あ?あぁ・・・まぁ確かに言ったが・・・』


それが何だよ?というような顔の鈍感上司に乱菊は、今度は頭が痛くなってくる。


「だからっ、みんな隊長に好かれたいんですよっ!!」


このようすだともう瀞霊廷中に広まってますね、という松本の言葉に、今度は日番谷の方が眩暈を起こす番だった。


『はぁっ?!な、何でそんな・・・』

「隊長はもっと自分の言葉の重みを知らなきゃ駄目ですよ!」

『はぁ・・・・?』



最初は、本当に俺の所為なのか?と信じられない様子だったが、その後も止むことのない“仕事頑張ってます”アピールをしてくる同僚や部下の多さに、真剣に『軽い気持ちの発言は控えよう』と心に誓う日番谷なのだった・・・・・。







「「「日番谷隊長!自分、今日も仕事・・・・」」」

『もう分かったからっ!!』






Fine.

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