小噺

□人気者は辛いよ
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「ま、松本副隊長?!何かあったのですか?!」

「珠洲島〜ちょっと聞いてよ〜!」


副隊長曰く、定例集会の後に瀞霊廷通信の話になって、廊下で盛り上がっていたらしいのです。

内容は今回、人気投票と同時に行われた副隊長対象の“自隊の隊長以外なら誰に仕えたいか”というアンケートについて。
これももちろん日番谷隊長が一位。松本副隊長はそれが嬉しくて、誇らしくて。他の方たちに自慢していたらしいのです。


「・・・それがどうしてこの騒ぎなんです?」

「・・・総隊長の所為よ」

「はい?」


何で総隊長・・・?私が不思議そうな顔をしていると、不機嫌そうに黙り込んでしまった松本副隊長の代わりに檜佐木副隊長が説明してくださいました。


「総隊長が、“そんなに皆日番谷隊長に仕えたいなら一日副官を交換してみろ”って言ったんだよ」

「えぇ?!」


アンケートで日番谷隊長に投票されたのは他に三人いらっしゃったのですが、その方たちはあくまで“もし仕えるなら”と投票されたので、この話に食い付かれなかったらしいのですが、残りの方たち(つまりここに居る方々)はかなり本気らしく・・・


「だから、ほら!代わってくださいよ、松本さん!!」

「嫌っ!!絶対に嫌っ!!」

「乱菊さん、浮竹隊長に投票したんでしょ?十三番隊ちょうど副隊長いないし、行ってくればいいじゃない」

「あれはあくまで“もし”の話よっ!隊長以外に仕えるなんて有り得ないっ!!だいたい弓親、あんた副隊長じゃないじゃない!」

「だって僕、十一番隊だから五席だけど、実力は副隊長レベルだし」

「自惚れんじゃないわよっ!」


そう言い合う様子はとても副隊長方の話とも思えませんでした。
そしてそれが終に私にまで飛び火したのでした。


「でも日番谷隊長、案外この話にのってくれるんじゃないですか?」

「はぁ?何でよ?!」

「そうだな。いっつも“松本が仕事しねぇ”って怒ってるし」

「そうそう!」

「はぁ?!有り得ないわよ!てゆーか吉良、あんたはギンの面倒みてなさいよっ!」

「僕だって真面目な上官の下で働いてみたいんですよっ!それに僕の方が日番谷隊長のお役に立てると思いますし」

「そんなのありえないわよっ!!」

「でも、吉良、お前そんなことしたら市丸隊長に殺されんじゃねぇか?」

「うっ・・・」

「ふんっ、ざまぁみなさい!」

「でも、確かに乱菊さんはサボりすぎでしょ?」

「そんなことないわよっ!ねぇ、珠洲島?」

「えっ・・・?!」


私はいきなり話を振られたことへの驚きと、確かにいつも日番谷隊長が松本副隊長を怒っているという事実から、まともな返事が出来なくて・・・・そしてそのことが方々の言い合いに油を注いでしまったのでした。


「ほら、三席にもそう思われてるみたいですよ」

「珠洲島〜!あんただけは私の味方だって信じてたのにっ!!」

「えっ、いえ、その・・・」

「仕方ないよ。乱菊さんが仕事しないのは事実だもんね。そりゃ愛想も尽かすって」

「なんですって〜?!」


最早喧嘩と化してしまったそれは、内容は呆れてしまうようなものでも、迫力は流石に副隊長クラスというもので。隊員たちは怯えてしまうし、私も止めたくても止めようがありませんでした。


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