小噺

君ありて幸福
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「折角こうして会いに来とるんやし、お話ししようや?」

『・・・してんじゃねぇか、さっきから』

「やって日番谷はん、仕事しとるやん!」

『明日提出の書類があるんだよ』


この遣り取りをしとる間も、日番谷はんの眼は書類しか映しとらんくて。・・・なんや、書類にまで妬けてきたわ。


「・・・日番谷はんは仕事が好きなんやね」

『はぁ?別に好きじゃねぇよ。けどやんなきゃならねぇんだから仕方ねぇだろ』

「せやったら、息抜きも必要やで?そや、日番谷はんの幸せって何?」


日番谷はんが幸せやって思うことなら、ボクが叶えてやろ!そしたらボクのこと見直してくれはるやろ!・・・て、思うてたのに。


『幸せ・・・?そうだな・・・寝ること、かな』


・・・・また、夢もへったくれもないことを・・・・一体いくつやっちゅーねん。


「・・・それが幸せて・・・なんや悲しなるわ・・・」

『ほっとけ・・・じゃ、お前の幸せは何なんだよ?』

「ボク?そらボクは・・・・」

『あ、ヤベ。時間切れだ』

「何それっ?!質問しといて答え聴いてくれへんの?!」

『これから総隊長に呼ばれてんだよ。話の続きはまた今度聴いてやるから』


日番谷はんは、お前も早く仕事に戻れ、なんて言い捨ててボクを置いて足早に出てってもうた。仮にもお客のボクを置いてくってどうなん?せめて一緒に出るとかしてくれてもええのに・・・

でも、また話聴いてくれる言うんは嬉しいな。“ただし今度は仕事してから来い”いう付け足しの台詞は、聞こえへんかったことにしよ。


主がいなくなってもうて、意味をなさなくなった十番隊舎を後にする。ほんまは日番谷はんが戻って来はるまで待ってよう思うたんやけど、絶対怒られるやろうから、仕方なく自分の隊舎へ戻ることにした。

もう少しで三番隊舎、いうところで、足を止める。普段なら絶対に自分では来ぃひん四番隊舎前で。別にどこか怪我しとるとか、調子が悪いいうんやない。ただ、ちょっと気になるもんがあったから。


「綺麗やね」

「えっ?あっ、い、市丸隊長っ?!」


・・・・そない驚かんでもええやろ・・・まぁ、普段あんまり話しかけへんからな、無理もないか。


「それ、どないしたん?」

「あ、現世に行っていた者が買ってきたんです。可愛いから、隊舎に飾ろうって」


それはこっちでは見かけへん小さな花。赤、白、桃と綺麗に可愛らしく咲いとる。


「なんでも、厄除けの効果があるらしいんですよ」

「へぇ〜」

「それに、もっと素敵なのが・・・・・」


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