小噺

出会い
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「何しとるん?」

「あ?何だよ、邪魔すんじゃ・・・え?!」

「「い、市丸隊長?!」」

「なぁ・・・何しとったん?」


自分でも、いつも以上に怖い笑みを浮かべとるんが分かった。何で?そないなこと分からん。意図的な威嚇やない。なんや腹が立って、無意識にそういう表情になってもうたんや。


「・・・この子に何か用?この子、ボクに書類持ってきてくれたんやけど」

「「「え・・・いや、その・・・・」」」

「あらら、書類、散らばってしもとるやん。どないしたん、これ?」

「い、いえ、俺たちは偶々通りかかっただけで・・・なぁ?」

「そ、そうなんです。あ、仕事に戻らないと!」

「「「し、失礼しますっ!」」」


文字通り、飛ぶように逃げ去る隊士らの背中に威嚇の笑みを放った後、ばっと少年の方に振り返った。


「大丈夫やった?怪我してへん?」


すんなりと出てきた、本心からの心配の言葉。表情も、さっきまでのもんとは違うと思う。そんな自分に驚いた。


『はい。ありがとうございました』


礼儀正しく、すっと頭を下げる小さな子。余計なことをしてもうたかな?と思っとったから、その素直な謝意に、何だか照れくさいような気分になった。

そんな気持ちを隠すように、表情を普段のものに切り替えて、誤魔化すように書類を拾いながら話を続けた。


「・・・今の、十一番隊の奴らみたいやったね」

『ええ・・・たまにあるんすよ。俺、新米なんで』


仕方ないっす、と言う声は今までに聞いてきたどの声よりも凛としとった。


「・・・せやけど危ないやん」

『今のとこ怪我するようなことはないんで、大丈夫っすよ』

「やけど!・・・日番谷クンは悪ないやん」


少し大きな声になってもうたことにハッとする。日番谷クンも少し驚いたように目を見開いとった。そしてふわりと柔らかい表情を浮かべはった。


『心配してくれて、ありがとうございます』


真っ直ぐな台詞に、真っ直ぐな瞳。ボクんことを怖がる素振りもない穏やかな笑み。慣れないそれらに、どうしていいか分からず固まってまう。そんなボクの様子なんて知る由もなく、日番谷クンは質問をぶつけてきた。


『つーか、何で俺のこと知ってるんですか?』

「え・・・?」


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