小噺
□居酒屋相談所〜黒崎一護は敵ですか?編〜
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「・・・で、僕んとこに来たわけ?」
「うぅ・・・」
やっと仕事が終わり、夕飯でも、と思い外に出たところを捕まり、訳も分からぬまま居酒屋にまで連れてこられた京楽は、三十分以上も黙って独り酒を飲み進め、挙句、理由を話した途端に机に突っ伏してしまった友人に溜息混じりに声を掛けた。
「ったく、そんなんだったら日番谷くん連れ去って来ちゃえば良かったのに」
「そ、そんなこと出来るわけないだろう?!」
「だって妬いちゃってる訳でしょー?黒崎くんに」
京楽の言葉に、浮竹は顔を少し歪めて言葉を詰まらせた。
「まったく・・・だから早く告白しろって言ってるのに」
「そんな簡単に出来たら苦労しない・・・」
「なぁんで?好きなんでしょ?」
「そうだけど・・・だ、だから今日はちゃんと誘おうと・・・」
「結果、誘えてないじゃない」
「うぅ・・・」
溜息を吐き今にも泣き出しそうな浮竹に、京楽は更に追い討ちをかけた。
「・・・そんなタラタラしてたら取られちゃうよ?人気者なんだから」
「そ、そうなんだよな・・・」
「だから、ライバルを前に引き下がってちゃ駄目でしょ」
「ら、ライバルって・・・」
「は?何、気付いてないの?黒崎くん、どー見ても日番谷くんのこと好きでしょ」
さらりと言い放たれた言葉に、愕然とする。
そう言えば、一護はとても幸せそうな笑みを浮かべていて、だけどどこか恥ずかしそうにしていた。
「そうか・・・一護くんも・・・」
「感心してる場合じゃないでしょーが。お前、黒崎くんには大分遅れを取ってるよ?」
「え・・・?」
「結構こっちに遊びに来てるみたいじゃない。で、決まって十番隊に顔を出すそうだよ?」
「そ、そうなのか?!」
「で、今日も二人で出掛けてるんでしょ?」
負けてんじゃない、と言いながら吐いた溜息は、どうやら浮竹には威力がありすぎたようで。
浮竹はまるで魂が抜けてしまったかのように項垂れてしまった。
(ったく・・・そんなんじゃ、僕が横取りしても知らないよ?)
ふぅ、ともう一度小さく溜息を吐き、浮竹に声を掛けようとしたその時。京楽はここにある筈のない姿を見つけ、目を見開いた。