小噺2

素直になれば
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この想いに、貴方はどう応えてくれる?








  ―素直になれば―








2月14日は乙女の決戦日。

それはここ、尸魂界でも変わりはなくて。
どこの隊舎でも女の子の緊張した声が飛び交い、男もどこかソワソワと落ち着かなくて、一日中甘い香りに包まれる。

そんな日に周りの騒がしさも、甘い香りも気に留めず、いつもと変わりなく淡々と仕事を行う者は恐らくは十番隊の主くらいのものだろう。

そんなよく言えばクール、悪く言えば鈍感な彼に恋心を抱いている子は苦労する。そしてその苦労はもれなく尸魂界一の美女の上にも降りかかっていた。


(今年も手作りしてみたはいいものの・・・)

「どーしようかなぁ・・・」


自身で作ったチョコレートを手を拱いて見遣り、乱菊は溜息を吐いた。

毎年、この日に贈るプレゼント。もう恒例行事のようになってしまっているが、それでも毎回、溢れんばかりの想いを込めて、本気で渡している。

だけどそれを自分の想い人は正しく理解してくれているのかと、不安に思う。

この日の意味は説明した。それはもう何度も、耳に胼胝ができるほどに。

それでもいつも反応は鈍く、素っ気なくて。

だから少しでも印象に残るようにと、毎回奇抜でインパクトのある渡し方をしているのだが・・・


「今年は、どうやって渡そうかなぁ・・・」


もしかしたら、奇抜過ぎて、ふざけていると思われてるのかもしれない。


「う〜ん・・・」


でも、その他大勢と一緒になんてされたくない。


「でもなぁ・・・」


しおらしく、真剣に渡したら、逆に印象に残るのかも。


「よしっ、そうしてみよう!」


きっと今年こそ!と自分を励ますように大きく頷き、可愛らしくラッピングしたチョコを持って部屋を飛び出した。


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