小噺

□ライバルは天才児
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絶対絶対、負けないんだからっ・・・!




―ライバルは天才児―






6月、しとしとと雨の降る季節。
もちろん今日の天気もぐずついてる。いつもこんな日は体調が優れない私の大好きな隊長。

だけど今日は何故だかとても気分が良いらしくて・・・・



「浮竹隊長、今日はお加減が良いみたいですね!隊長がお元気だと私も嬉しいです!」

「ありがとう、清音。今日はちょっと良い事があってね。そのおかげかな」

「良い事?なにがあったんですか?」

「ん、実はね、冬獅郎・・・じゃない日番谷隊長がね・・・・」


(ああ、また例の如く、日番谷隊長絡みなのね・・・・っていうか、わざわざ呼び方言い直すってどうなの?・・・・っていうか本当にどういう関係?!)



にこにこと嬉しそうに日番谷隊長との出来事を話す隊長。私からしてみれば些細な出来事なのに、隊長にとってはこれ以上ないほど幸せな様子。

いろいろ納得はいかないけど、隊長の幸せそうな顔を見てると、よかったですね、なんて言っちゃう自分がいる。



「あ、そうだ清音。この書類を十番隊に届けてきてくれないか?」


思い出したかのように仕事を始めた隊長が、書類を差し出してきた。書類を届けるのは私たち部下の仕事だし、お安い御用なんだけど・・・・


「はい、わかりました。
・・・でも、あれ?ご自分で行かれないんですか?」


隊長は、気分が良い時はご自信で他隊に届け物をしたりする。こと十番隊なんかには、体調の悪い時まで無理して行こうとするから、結構な困り事なんだけど・・・・今日はどうみても体調が良さそう。それなのに私に頼んでくるなんて・・・・・


私が不思議そうな顔をしていると、隊長は少しバツの悪そうな顔をして微笑んだ。



「冬獅郎に、今日はもう来るなって言われちゃってねぇ」


まいったなぁという風に頭を掻く。その表情は残念そうなんだけど、その時のやり取りを思い出してか、どこか嬉しそう。隊長の嬉しそうな顔が見られるのは私も嬉しいけど、やっぱりなんとなく納得いかなくて。



「・・・行ってきます」


なんていつもよりテンションも低めに言って、話も途中に、足早に十番隊に向かった。

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