『CLAYMORE』

□プロローグ・・おごりの酒はいくらでも
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――AD.2058/某所――

高層ビルの立ち並ぶ、オフィス街、その裏路地。日中でも日の当たらない暗がりの、更に地下一階にBarがある。

その筋の連中用の情報を扱う為に、開いている店である為所謂、
『情報屋』
『私立探偵』
『産業スパイ』
という肩書きのチンピラ客が多い。というより、殆んどその類だ。

裏路地という立地的都合と、客質の悪さという人的都合により『普通』の客はあまり立ち寄らなさそうなこの店で、今、店の雰囲気とはまるで似つかわしく無い男が一人、カウンターで酒を飲んでいる。


身なりを見るに、サラリーマン、しかもエリートの類である事は想像するに固くない。

普通この店に来るのにこんなにビシッとキメてあるスーツを来てくる奴は余り・・いや、殆んどいない。いたとしても、チンピラ客に絡まれ、その客とバウンサーのいざこざに巻き込まれて、服台無し、金無し、アクセサリ破壊、髪型崩壊と、まぁ、ほうほうのていで逃げ帰るのがオチだ。

俺は正直、今日のこの客もそうなるもんだとシェイカー振り回しながら期待していた。

しかし、今日に限ってチンピラ共はこの哀れなお客に絡んでこない。それどころか、このお客が来てから、店が若干静かな気もする。

安物のジュークボックスから心地良いジャズが流れてくるのがはっきりわかる。

(バウンサーを使ってちょっかいでも出して見るか、いや、流石に信用問題になりそうだな・・暫く様子でも見るか)


バリイィィン!!
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