NOVEL

□虜
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抱いても抱いても俺のものにはならない…

でもそれが
もどかしくって
愛おしくって
手に入れたくて

こんなにもがんじがらめになる。抜け出せない。

不意に腕の中の空気が揺れる。「なに考えてるの?」艶やかな赤い唇が弧を描いて、より一層引き立てる。
きっと、全部分かっているのだろう…俺でさえ解らない俺の事。知られたくはない胸の内。
わざとらしく息を吐き、なんでもないと応えた。
蔵馬は興味なさげに、つまらなそうに「ふぅん」とだけ言った。
その態度が気に入らなくて素っ裸の白い両足を大きく広げる。「やっ」と小さく抗議の声をあげて頬を朱に染める。
「お願いっ、飛影!やめてっ!!」
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