NOVEL

□Sweet pain
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「おぬしはいつになったらワシのものになるんじゃ」
その言葉を受けて部屋を出ようとしていた蔵馬が振り返った。その振り返る動作にさえうっとりしている自分に嫌気がさす。
「その質問には何度もお応えしたはずです」
ため息混じりに言う蔵馬に一歩ずつ近づく。
広い部屋にコツコツと自分の足音だけが響く。目の前まできてやわらかな頬に手を伸ばす。
「俺は貴方よりも地位も権力もある方とお付き合いしてます」
見下した様に見上げる瞳。
形の良い鼻に血色の良い唇。
それらを囲う艶やかな黒髪。
惹かれて顔を近づけるとほんのりと花の香りがした。逃げられるかと思ったがなんの抵抗もなく受け入れられるキス。
名残惜しく唇を離した。
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