NOVEL

□complex
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「5091…」
「5092…」
「あ、いらっしゃい飛影」
いつもの様に窓から入ってきた飛影に、声をかける。けれど、手は休めることなくゆっくりと上下に動く。
「5093…」
せっかく貴重なパトロールの休みに、人間界まで愛しい恋人に会いに来たというのに。抱きついてくるとか、会えて嬉しいとかの言葉もなく、蔵馬は作業を続けている。
そんな女々しい思いを口に出来るはずもなく、飛影はソファのいつもの位置に腰掛けた。
「…で、お前はさっきから何をやっている」
「筋トレですよ」
見れば分かるでしょうと答えながらもまだ鉄アレイを持つ手を動かしながら回数をかぞえている。
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