NOVEL

□自慰
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あいたくて
思い浮かべる、顔。

あいたくて
頭の中で輪郭をなぞった。


「くらま…」
名前を口にすれば、はっきりと思いだせる。

あの夜の出来事。




『ゆうすけ…』
ためらいがちに、けれど誘う様に名を呼ばれた。
色白な顔に映えるピンクの唇。艶やかな黒髪がさらりと肩を滑り落ちた。
伏せた長い睫が陰をつける。


きれいすぎて
壊したくなった。

きれいすぎて
汚したくなった。


導かれるまま、細い体を抱き締めて。
布団の中へ押し込んだ。

俺の布団の中で蔵馬は、息を乱してにやりと笑った。

熱くて冷たい笑み。

柔らかい躰とくらくらする程良い匂い。
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