NOVEL
□へびいちご
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赤く熟れたまぁるい実。
甘い香を放って、周りを引き付ける。
でも気をつけて。
可愛い花をつけるその赤い実は、
美味しそうに熟れたその赤い実は、
──猛毒だから。
ぎしり、ベッドが軋む。
シーツの波に漆黒の髪を散らして、見上げる彼。
胸がぎしぎしと締め付けられる様な嫌な感覚。
睨む様に見下ろして、息が荒くなる。
「…幽助?」
美味しそうな唇が、自分の名前を吐き出したけれど、わざと通り過ぎて首筋に顔を埋めた。
深呼吸すると肺いっぱいに甘い香。
「ちょっと…くすぐったいよ」
顔を上げると頬を上気させた彼と目が合った。