GIFT
□〜君がため〜
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妖孤が、南野秀一の肉体を蝕みはじめてどのくらいの月日がたったんだろう。。。
はじめは、ただ、あの人の傍にいたくてがむしゃらに進んで来たけど−−
「その代償がこれ…か…」
自分の掌に広がる、真っ赤な真っ赤なこの液体は一体何なのでしょうか?
身体を、身体中を刺すような、焼いたような、この痛みは、暑さは、一体何なのでしょうか?
あなたの傍にいたいだけなのに、それさえも罪なのでしょうか?
もしもそうだというならば、あなたの傍にいることは諦めましょう
ただただ、あなたが幸せになることを祈りましょう
残り少ないこの命、あなたのために捧げましょう−−
〜 君がため〜
−コンッ
「飛影じゃないですか!お久しぶりですね」
−−いつから、飛影が窓から入るとき、窓ガラスをノックするようになったんだろう
「別に来たくて来たわけじゃない。骸のやつが、最近狐が来ないとぼやいていたから様子を見に来ただけだ」
−−いつから、飛影は骸の話しをするようになったんだろう
「まったく、大事な恋人が暇を持て余してつまらなそうだから、何か暇つぶしになるようなことはないか……ってどうして素直に言えないんですか?」
「ふん、どうして忙しいおれが、暇を持て余しているやつのために、わざわざ!こんなとこに来なければならんのだ!」
−−いつから飛影は骸が恋人であることを否定しなくなったんだろう
「はいはい、そういうことにしときましょう。本当、素直じゃないんだから」
「うるさい!……まぁいい。そこまで言うんなら、貴様のいう、暇つぶしの方法とやらを聞いてやろうじゃないか」
−−いつから、飛影は骸のためだけに、ここまで来るようになったんだろう
「そうですね…お花見なんてどうですか?もうすぐ、こっちの桜が見ごろなんですよ」
「桜…?ああ、おまえが時雨戦のときに咲かせた薄紅色の花か。。。いいかもしれんな」
−−いつから、飛影は骸を思って、こんなに優しく笑うようになったんだろう