GIFT
□〜君がため〜
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「なら決まりですね。桜が満開になるのは三日後くらいですから」
「わかった……言っておくが礼など言わんぞ!貴様が勝手にしゃべったんだからな!」
「分かってますよ♪…ほら、そろそろ戻ったらどうですか?きっと愛しい彼女が寂しがってますよ」
「言われなくても退散してやる……じゃあな」
−−いつから、飛影は「またな」って言わなくなったんだろう
「はぁ……!ごほっ…けほっ」
−−いつから、飛影に、妖力にふれると、身体が壊れていくようになったんだろう
「は…あ…いつまで…この身体はもつんでしょうか」
あなたに命を捧げると決めたあの日から、私の全てはあなたのモノになりました
あなたが笑ってくれるなら、それが私のための微笑みでなくても、私はとても幸せでした
あなたの幸せが私の幸せなのです
…しかし、何故でしょうか?あなたが笑ってくれてうれしいはずなのに、私の胸は張り裂けんばかりに悲鳴をあげているのです
あなたが笑ってくれたから、私も笑おうと思ったのに……
この、私の両頬を流れる温かな液体は一体何なのでしょうか
あなたのためになら惜しくはないと思った、この命が、この心が、なぜいまさらこんなにも痛むのでしょうか
どうか、どうか笑ってください
あなたを想って散って逝く、哀れな狐を、少しでも弔ってくれるというならば
あなたへの想いを捨て切れなかった、馬鹿な狐を、少しでも許してくれるというならば
どうか幸せになってください。
END
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この蔵馬と似たような状況になった事がある私としては、涙なくして読めないお話です。
たいせつな人だから幸せになってほしい・・例え自分が犠牲になっても。
私はこの蔵馬ほど強く綺麗な気持ちではけっしてなかったですけども・・・
私の中ではこの先がとても気になる作品でもあります。
蔵馬に少しでも心から幸せな笑顔が戻りますように・・・
灯魅さん、本当にありがとうございました!