『永い時の中で』
□夢に憧れて 第五話
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夢をみる。
人が忘れたはずの悪い記憶の夢を。
人を貶めたもの。
人を辱しめたもの、
人を苦しめたもの、
人のものを盗んだもの、
人をあらゆる惨い方法で殺したものを。
ひとに呪われたものを。
生き物を無惨に殺したものを。
建物を燃やしたものを。
妖怪に襲われるものを。
妖怪に食われるものを。
妖怪に四肢を引きちぎられるものを。
妖怪に呪われるものを。
妖怪に対抗する術がほしい。
妖怪に妖怪にようかいにヨウカイニ
人は恐ろしい体験を何度もしている。
それを繰り返しみるなんてなんと恐ろしいのか。
この苦しみから逃れるためにとても…死にたくなる。誰か助けてほしい。
夢の中で膝を抱え込み、立ち止まる。
そんなとき誰かが頭を撫でるのだ。
優しく、優しく。そして大丈夫だと。
その声は聞き覚えがあった。
「ま さ ゆ き?」