『永い時の中で』

□夢に憧れて 第七話
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夢をみた。












これはいつ、ここは俺の部屋。

俺がいる。
紅蓮がいる。
彰子がいる。

どうして彰子は泣いている。
どうして紅蓮も泣いている。
俺はどうして手を伸ばさない。
俺にまとわりついているこの闇色の煙は?

あぁわかった。


「昌浩殿」

闇色に固まっている人型の煙がそこにある。声がしてくる。
お前は誰だ、お前は誰だ。

「来世こそ我が夢のために貴方は私の物となってもらう。」

身の毛のよだつその台詞。忘れることは生涯ない。

こちらこそだ、憧憬。
俺はみんなを、彰子を幸せにするはずだったんだ。その怨み…お前を倒して晴らしてやる。

紅蓮…ごめんな。
でもお前にはもう仲間がいる。俺がいなくても大丈夫。

彰子、彰子、彰子。ごめん。
幸せにしたかった、幸せに出来なかった。


蛍を…蛍を毎年みようって約束していたのに。










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