立夏×草灯(原作5年後設定)
□まだ秘密です。
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近所のスーパーの先着特売品を狙って草灯が家を出てから20分ほど。
やっと目が覚めた立夏は、ダルさの残る体をムリヤリ起こしてバスルームへと向かう。
――こういうのって、普通受け入れる側のほうが負担が大きいんじゃないのか? それなのによく朝っぱらから特売に行く元気があるよな、あいつ……。
親の援助の期待できない学生二人なので、生活費は極力抑えたい。
それは当然のことだけど、それなら閉店間際の値引きセール品でもいいんじゃないかと、立夏は思う。
しかし草灯にしてみれば、立夏はまだまだ成長期。
新鮮なものを新鮮なうちに、もちろん添加物など使っていないものを食べさせたいらしい。
意識をはっきりさせる為に熱めのシャワーを浴びていると、階段を上ってくる足音が聞こえた。
――二人いる? 草灯じゃないのか?
急いでシャワーを終わらせたいと思うものの、シャンプーを始めたところだったのですぐの対処は出来なかった。
「「立夏ー! 草灯ー!」」
きれいにハモったその声は、紛れもなく瑶二と奈津生のもの。
草灯も立夏もどちらかが家にいるときは鍵をかけずに出かけることが多いが、今日も案の定鍵はかかっておらず、遠慮という言葉を知らないゼロたちはずかずかと室内に入ってきた。
「シャワー浴びてんのどっちだ? 立夏? 草灯?」
「それとも二人一緒?」
特に仕切りもないような室内だ。一通り見回して人影を発見できなかったら水音がしているバスルーム以外に誰もいないことなどすぐにわかる。
「オレ一人だよっ!」
急いでシャンプーを流しながら答えると、ゼロたちの笑い声が返ってきた。
「あはは。立夏、ムキになってんの」
「別に二人で入ってたって驚かねーよ、おまえらなら」
「なー」
これ以上からかわれて堪るかと、立夏は大急ぎで体も洗ってバスタオルに手を伸ばした。