立夏×草灯(原作5年後設定)

□甦る高揚感から目を逸らす
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「オレたちの勝ちだ」

己がつむいだ言葉(スペル)が敵サクリファイスの全身を完全拘束したのを確認して、草灯が低く宣言する。




崩れ落ちるサクリファイスの姿を見た戦闘機が、悲鳴を上げながらボロボロになった身体で必死に手を伸ばしていた。




無表情にそれを眺める草灯と、眉間にシワを寄せながら見る立夏。

戦闘機の手がサクリファイスに触れたとき、

「帰るぞ」

立夏はぼそりと言って返事を待たずに踵を返し、草灯は無表情のまま黙って立夏の後を追って歩き出した。















もう二度とすることはないと思っていた言語闘争(スペルバトル)。

自分たちに挑んでくる者などもういないのだと、すべては終わったのだと思っていた。

それなのに。




――なんで、いまさら……っ!




突然展開された戦闘領域。

問答無用で仕掛けられた戦闘(バトル)。

久しぶりに聞く、圧倒的な力を誇る草灯の言葉(スペル)。

冷静に草灯に命令を下す“サクリファイス”としての自分。





忘れていたはずの感覚が一瞬にして甦った。

LOVELESSとして戦っていた期間は、ただの青柳立夏と我妻草灯として生きてきた時間とは比べ物にならないくらい短い。

けれども密度で言えば遥かに濃密な時間だった。

こうして瞬時に戦闘の感覚を思い出せるほどに。







立夏が俯きがちに前を歩き、草灯はその数歩後ろに従う。

二人とも一言も発しないまま、ただ重い足を引きずるようにして家路を辿った。




途中、電柱の明かりの下で足を止めた立夏が、ちらりと草灯を見やったが、その一瞥は草灯に5年前の立夏を思い起こさせるのに充分すぎるほどの痛みを湛えていた。





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