立夏×草灯(原作5年後設定)

□蝶は羽ばたき飛び立つか
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100年に1度の経済危機なんぞと言われる時代だというのに、今こいつは何て言った?




「よく聞こえなかったから、もう一度言ってくれ」

努めて冷静に聞き返せば――いい歳した大人であり、描く絵は綺麗だが本人の性格は悪いといわれた芸大生であり、最強の戦闘機といわれた男であり、会って数時間で同性の小学生にキスをした変態であり、それでいてオレの恋人兼戦闘機兼同居人であるところの我妻草灯は、ぴくりとも表情を変えずに言葉を紡いだ。




「内定辞退してきた」

「………………」




このご時世になに考えてんだ、こいつは。

ただでさえ日本画専攻なんて専門的すぎて、専攻に関係する職に就くのは至難の業だって言うのに。

おまえ、休学繰り返して25歳の今になって大学卒業なんだぞ?

現実見えてんのか?




ぐるぐると頭の中でネガティブなことばかりが渦巻いて、でもこれは草灯の問題であってオレが口を出して良い事じゃないって分かってるから何も言えなくて。




だけど、それでも事前に教えて欲しかった。

草灯の人生は、オレとともにあるって思っているから――。




少しの悔しさを感じていたら、さっきよりもっと耳を疑う言葉が草灯の口から飛び出した。





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