◆オリジナル◆

□『む、意外とガードが堅いな。』
1ページ/1ページ

これが恋かどうか、わからない。
でも気になるんだ。



同じクラスになったのは、2年になってから。
でもね、実は1年の頃から憧れてた。
廊下を歩く時のあの颯爽とした彼は、同じ男として憧れた。
だから、クラスが一緒になって、真っ先に彼のところへと走った。




「市ヶ谷くん!!!!」

自分の席に座って教科書を開いていた彼の顔には、誰だ?と書いてある。

「僕、日野実。今日からおんなじクラスなんです」
「ああ、よろしく」

素っ気無く言って、またすぐ教科書へと目を落とした。

(む、意外とガードが堅いな。)

「あの!!!!」

突然の大声に、眼鏡越しの目が見開かれた。
ちょっと気分がいい。

「僕と、親友になってください!!!!!!!」
「…………は?」

げんなりした顔。

「え、ダメですか?」
「…………親友っていうのは、頼まれてなるもんじゃないだろう」
「じゃあ、約束っていうのは?」
「…………」
「いつか親友にしてください!」
「…………友達にすらなれないかもな」
「ええ?!」

狼狽えた僕に、彼は一つ溜息をついてから言った。

「冗談だ」
「冗談……冗談とか言うんだ」
「……馬鹿にしてるのか?」
「え!?違う!違うから!!」

だから。

「友達、からでいいから、仲良くしてください」
「…………好きにしろ」
「ぅあ〜ありがとう!!!!!!」

感激する僕。
もう一つ溜息をつく彼。

「ところで、日野、だったか」
「うん、日野!実でもいいですよ!」
「日野でいい」
「あ、そう……」
「どうして敬語なんだ?同い年だろう」
「ああ、それは」

憧れている人に、タメ口なんて使えない。
それになんか、彼はしっかりしていて年上みたいだから、ついつい敬語になっちゃうんだ。

「……ナイショ」
「……あ、そう」
「興味ないの!?」
「ない」

流されることすら気持ちいいなんて、もしかして僕はMでしょうか。

「宜しくお願いします、市ヶ谷くん」
「……」

今は無視されてもいい。
いつか相手にしてもらえるまで、僕は追いかけるよ。


―END―

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ