◆オリジナル◆

□『老若男女を問わず美人はいつでも大歓迎。』
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「俺が先に言ったのに」

言い当てられたのが余程恥ずかしかったらしく、ぶつぶつ呟く春太の肩を、ありがとうの気持ちで軽く叩いた。
その手がふいに掴まれ、驚いて顔を上げた朝人を春太がベッドへと押しつける。

「で?」
「は?」
「感想」
「……なんの」
「決まってるでしょ」

にやにやした顔に、思わずげんなりしてしまう。

「ちょ、何その顔!!」
「いや……」

そういうことを、事後に聞かないで欲しい。
実際、今になって相当恥ずかしくて、強気な態度をとっているのだった。


『身体を重ねることって……そんなにいいのか?』
『──試してみる?』


本当は聡い彼のことだ。朝人がどんな気持ちでこのセリフを言ったのか判っていたのだろう。
判った上で、甘やかしてくれた。

「──春太」

押さえつけられていない方の手を、ゆっくりと伸ばす。
彼の襟足に指を絡め、その感触を束の間楽しんだ。
そして、そんな仕草にきょとんとした男前をそっと引き寄せる。

「あっちゃん?」
「こういうのも……悪くないな」

朝人らしい皮肉なそれを、今日弱いと知った耳に吹き込んでやりながら、ピアスに口付けた。
案の定春太はびくっとして、朝人の目を楽しませる。
それに挑発されたのか、春太はコツンと額を合わせ、悪い顔でこう言った。

「老若男女を問わず美人はいつでも大歓迎よ?」
「……お前らしいよ」

くすっと笑うと、春太も口元を緩ませる。

「割りと本気なのになぁ」
「本気は本命に使え」

安売りするな。
親友の進言は、柔らかく重ねられた唇へと消えた。

─END─
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