◆ベカミSS置場◆
□cammy2
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「前に来た時よりデカくなったんじゃねェの?」
どうやらオレのベッドを気にいったらしいコイツは今朝も元気に犬パンチで起こしてくれる。
真っ黒な瞳と同じく真っ黒な毛。
元気な証拠のつやつやに濡れた鼻。
まだ小さな歯と健康そのもののピンクの舌を出してハッハッとオレを見つめている。
ああ…こんな期待に満ちたつぶらな瞳で見つめられちまったら、
たとえ朝から頭をぐしゃぐしゃにされようが、毛布の端をかじられようが、怒れない。
むしろそれさえ愛らしい、なんて思っちまうオレは重症だろうか。
しかもコイツは、神尾の…
そう、オレの恋人から預かった、大切な子犬なのだ。
先週から、家の工事があるから犬を預かって欲しいと頼まれた。
まぁコイツなら、頼まれなくても進んで預かってやるけどな。
cammyと刻まれた、銀のネームプレートが首輪で揺れている。
まだ子犬で、やんちゃで。
けれどその黒い容貌と真っ黒な瞳が、どこかアイツを思わせて
内心オレはキャミーをとても気に入っていた。
「学校に行って来るからよ。いい子にしてるんだぞ?」
「ワン!!」
アン!とも聞こえるその返事もまた可愛いじゃねェかコンチクショー!
こんなふうにここ三日程、毎朝オレは後ろ髪を引かれる思いで登校しなければならなかった。