ぼくたちの、かあちゃん

□ぼくたちの、かあちゃん (1)
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「かーちゃん!!かーちゃん!!」

「大変だー!」



こんな元気で騒がしい2人との朝も



「三之助!左門!今日は一体何したのー!」

「左門のパンツが!消えた!」

「どこかで迷子になったのかもしれない…!」



もうこれで、3年目に突入しました。



「え!さっきまで履いてたじゃない!」

「だから困っているのだ!」



今年の春に晴れて小学校の3年生になった左門と三之助。
でも、相変わらず下ネタ大好きのヤンチャなおバカさんです。



「もー、自分で探しなさいー!」

「三之助のせいだー!」

「なんだとー!フルチン左門のくせにー!」



左門も新3年生になったから、少しは焦ってくれているのか真剣な顔をしていると思ったら
可愛いおちんちん丸出しできゃっきゃと笑いながら、逃げる三之助を追いかけてるし…
あー、もう誰に似たんだか、朝からほんとおバカなんだから…と泣けてくる。
だって、ついさっきまで履いてたパンツを、一体全体どこで失くすのよ!
あっ、さっきのトイレで脱いだ時か!
そう思って、楽しそうに追いかけっこをしている2人を尻目に急いでトイレにかけこむ。
……ない、ない!なんでトイレにも無いの!



「ねえ、遊んでないで三之助も探してやってよー!」

「あははは!だって!かあちゃん、左門が!」

「三之助!お前が持ってるんじゃないか?怪しいぞ!」

「持ってないってば、くすぐるなって、ぎゃははは!!」

「ふん!」

「「イデェ!!」」



朝からこんなことしたくないけど、げんこつよ、げんこつ…。
のん気に笑ってる場合じゃないのよ、だってもう7時半を回って…



ピンポーン



「わ!藤内くん来ちゃったよ!」

「アイツほんと真面目。今日も時間通りだなあ」

「まずい!こういうときは、どうしたらいいんだ…!」

「三之助ったら関心してないで準備して!左門もフルチンで正座してないで探しなさいよー!」



浦風さん家の藤内くんは、本当に真面目で優等生のいい子で羨ましい。
遅刻なんてしたことないだろうし、朝もしっかり目覚まし時計で起きるんだろうな…
はあ、なんて出来た子なんだろう…なんて考えてる場合じゃない。
下半身丸出しで、ランドセルを背負って正座して考えている左門。
わ!そのランドセル、怪しい…!!


「……ああ!!ランドセルの中に入ってるじゃない!おパンツなんて持って行ってどうするの、おバカー!」

「学校で恥かかずに済んでよかったな!」

「そんなところにあったか!思わず入れてしまったみたいだ!」

「笑ってないで、早く履きなさい!」



左門に嬉しそうにハイタッチする三之助。
パンツを片手にニカッと笑う左門。
もう、憎たらしいのに憎めないんだから…



「はあ、はあ、藤内くん、おはよう」

「おはようございます、今日もいい天気ですね」

「毎日お待たせして本当にごめんね…、ねえ、準備できたのー?」



あの時は、自分がシングルマザーになるなんて考えもしなかったし
2人がこんなヤンチャ坊主に育って、3人でこんな生活をするなんてちっとも思ってなかったけど



「「かあちゃん、いってきまーーす!」」

「行ってらっしゃい、気を付けるんだよー」



こうして今日も、私たちの一日が始まりました。





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新連載です
ヤンチャなこの二人が
愛おしすぎてはじめてしまいました

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