ぼくたちの、かあちゃん

□ぼくたちの、かあちゃん (2)
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2人の大切なわが子を育てるために私は仕事をしている。
子供が居るからと時短でやらせてもらってはいるけど
やっぱり金曜日は忙しいから終わるのが遅くなってしまうことが多い。


あ、やばい…もう日が暮れちゃいそう。


左門も三之助もいい子でお家で待っているかな、お腹を空かせていないかな、いつもより帰りが遅い母ちゃんのことを心配してるかな…
なんて思うと、心配になって自然と小走りで家に帰った。



ガチャ



「ただいまー」

「…あ!かあちゃんだー!」

「かあちゃんおかえりなさーい!!」

「うん、ごめんね遅くなって…」


私の帰ってきた音に反応してバタバタと居間で聞こえる元気な声に安心した。
あー、もう、また靴が散らかってる。
いつもいつも脱いだ靴は自分で揃えなさいって言っているのに、ぜんぜん聞かないんだから…。
左門と三之助の靴を綺麗に揃えて…って、……ん?
なんかひとつだけ、大きい靴があるんだけど。


「かあちゃん、今日遅かったなー」

「遅すぎて待ちくたびれたぞー!」


ひょこっと居間から出てきた左門と三之助…と


「おう。おかえりー、母ちゃん。」

「………なんでいるのよ、留三郎。」








「でさでさ、野村先生っていう眼鏡の先生が担任でー、登校班の藤内って奴が真面目でー、同じクラスの作兵衛って奴がすっげぇいい奴でー」

「そうかそうかー!三之助はいいな!学校楽しそうだな!」

「三之助ばかりズルイぞ留三郎!僕はこの前の身体測定で!身長がなんと!2センチも伸びてたんだ!」

「左門!よかったなあー!前よりデカくなったと思ったぞー!」



久し振りにわが家に来た留三郎に、聞いて聞いてと2人が興奮して色んな話をしているのを聞きながら
私は台所で黙々と3人のために夕ご飯を作っている。



「名前と違ってほんっと、お前らは可愛いなあ〜!」

「…ねえ、聞こえてるんだけど。」



留三郎は地元の幼馴染の1人だ。
なんたって家が近くだったし、地元はかなりの田舎だったから外で遊ぶしかなかった。
だから小さいころから年が一緒の近所のみんなで毎日のように集まって
日が暮れるまで一緒に遊んでいたし、大人になった今でもこうしてたまに会う。
留三郎は地元の高校を卒業した後に上京して、少し有名な大学に真面目に通って、普通のサラリーマンになった。



「おい名前ー、腹減ったー飯まだかー。」

「俺も腹減ったー、かあちゃん。」

「かあちゃん!今日の飯はなんだー?」

「もー腹減ったとか飯とか!2人が真似するんだからその言い方止めてよ留三郎!」

「はいはい。そういう事だ!左門!三之助!真似しちゃダメよー!」

「「ぎゃはは!かあちゃんにそっくりー!」」

「……ほんとに怒るよ。」



留三郎は昔から小さい子供が好きで、面倒見がいいし
左門と三之助はそんな留三郎のことを私の幼馴染みたちの中で一番気に入ってるみたい。
良いことも悪いことも、留三郎のすることをすぐ真似したがる年頃だ。
遊んでないで少しは手伝いなさいよ!と喉まで出かけるが、ここはぐっと我慢する。
…まあ、明日は休みだから今日くらい優しくしてあげなきゃね。
勝手に人の家のハンガーを借りてスーツかけてかばんを放り投げてリラックスしているけど、留三郎も今の仕事かなり大変みたいだし。



「なあ、留三郎、このテレビつまんねー!」

「よく見ろ野球だぞ!面白いだろ!ほら!いけっ!うをおおおお!」

「わあ!打った!打った!走れ!走るんだ!」

「すごい!すごい!ホームランだ!かっこいいぞ!!」



ちょっと、妬けるけど…たまにはこうやて遊んでくれる人が必要だよね。
留三郎が来てくれて、左門も三之助も嬉しそうだから
うるさいけど…ま、いっか。




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子供好きな食満くんが素敵だなとおもいます
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