小説
□愛玩ウサギ
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「・・・可愛いね、お前は・・。」
そう、愛しい真っ白なお前。
震える華奢な体も
乱れたその黒い髪も
俺たちの大切な大切な・・
ー 愛玩ウサギ ー
「痛っ!!!」
眼にいたいほどの青が頭上を覆うテニスコートに、突如悲痛な叫びがあがる。
王者の名を持つ立海テニス部らしく、激しい練習の最中のことだった。
「どうした?」
部長である幸村が、いち早く声のした方へ駆け寄る。
レギュラー含む全部員が、練習していた手を止める。
声のした先には、二年の部員達が集まっていた。
「部長・・!赤也の奴が無茶してっ・・・!!」
しゃがみ込んで赤也の腕を支えていた部員が、切羽詰まった声を上げる。
「赤也・・・肩を痛めたの?」
苦痛に顔を歪めた赤也は、右肩を負傷したのだろう。痛みに添えた指が肩に食い込むほど、強く握り締めている。
額に滲んだ大量の汗が、痛みを物語っていた。