小説
□求めて。欲しいから。
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お前は本当に酷い奴じゃ
俺のペテンなんて、きっとまだ可愛い方。
人の心に勝手に居座って
グチャグチャに掻き回していく
なぁ、
俺だけしか見えんようにしちゃろうか?
そんだら、可愛い声で鳴いてくれ。
可愛い眼に俺だけを映して
俺だけを受け入れて
俺だけを・・・・・
ー求めて。欲しいから。ー
いつものように屋上の日陰。
太陽を拒むような白い髪を風に揺らして
仁王は冷たい地面に背中を押しつけていた。
校舎からチャイムの音がする。
ちょうど、3限目が終わったところだろう。
「あと1限で昼飯か・・・」
どうせサボっているのだから、あと1限くらい変わらないだろう。
もう一眠りしようと、仁王は瞼を閉じた。
ガチャンっー
突然、勢いよく開けられた屋上の扉。
大きな音に、思わず体を起こす。扉の反対側の壁に凭れていたため、誰がやってきたのか見えない。
相手に気付かれて、眠りを邪魔されては面倒だと思った。
だから敢えて、仁王は無視を決め込むことにしたようだ。